石蔵文信の「男と女の楽しい更年期!」
医療・健康・介護のコラム
「妻も子も自分には何も相談しない」と嘆く夫…それはなぜか?
夫婦問題がこじれてくると、お互いのコミュニケーションが悪くなります。コミュニケーションが悪くなると、さらに夫婦問題が悪化するという悪循環が生じます。私の外来に相談に来られる夫から、「妻から何の報告もない。後で事態が深刻化してから、私の耳に入る」という不満の声をよく聞きます。確かに、夫にとって、妻からの報告が少ないのは不満かもしれません。妻自身の報告についてもそうでしょうが、子供たちの行動を妻は把握しているのに、自分は把握していないことに大きな不満を感じているようです。
娘の結婚も妊娠も、一番最後に知らされた私

たとえ夫婦仲が良くても、子供たちは、父親にはあまり相談をしません。主に相談相手になっているのは妻の方でしょう。私も3人の娘たちの結婚に関しては、一番最後に知らされました。ある時、妻から「娘と食事をしてほしい」と言われて出かけていくと、そこには娘の彼氏がいました。「結婚しようと思っているの」と言われてびっくりしましたが、いまさら反対するわけにいかず、「そうですか」とあっさり了承しました。
後で聞いてみると、妻はとっくの昔から知っていたようです。孫ができた時も、最後に知らされたのは私です。どうも、最初から父親に言うと、「話がこじれる」と家族が思っているようです。
否定的な意見しか言わない父親
このようなことは、一般的にもよくあることでしょう。
妻の側に「なぜ夫に相談しないのですか?」聞くと、「怖いから」と答えます。結婚当初は、いろいろと夫に相談していたということです。しかし、相談しても、まず否定的な意見しか言いません。前回もお話ししたように、妻が働きに出たいと言っても、「何が不満なのだ、お金に不自由させていないのに!」と否定し、揚げ句の果てには怒りだす始末です。子供たちが新しいことにチャレンジしたいと申し出ても、「まだ早すぎる」とか「危ない」とか言って了解しませんし、「自分で稼げるようになってからにしろ!」などと、頭ごなしに否定します。
このようなことが度重なると、妻や子供たちは、次第に父親に相談しなくなるでしょう。子供たちは、理解のある妻に相談し、着々と自分の行動範囲を広げていきます。妻も子も、父親に相談せずに自分のやりたいことを黙ってやるようになりますが、そのうちその行動を夫が知り、「なんで俺に黙ってそんなことするのだ!」と怒りだすのです。このようなコミュニケーションの悪さが、夫婦関係を悪化させているという場合が少なくありません。
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