うんこで救える命がある 石井洋介
医療・健康・介護のコラム
潰瘍性大腸炎「19歳で人工肛門、現在医師」の僕が今、伝えたいこと
大腸を全摘出しても肛門から排便可能にする手術
ただし、がんを発症したり、内科的な治療でどうしても効果が得られなかったり、大出血を起こしたりと、命にかかわる状況になってしまうこともあります。その場合には、僕のように大腸を全摘出する手術をすることになります。以前は、大腸を摘出した後、人工肛門で過ごす方がほとんどでした。しかし、現在は小腸をJの字に加工して肛門につなぐ「 回腸嚢肛門管吻合術 」を行って、これまで通り、肛門から排便できるようにするのが一般的になりました。
「病状が悪かったのであれば、早く手術したらよかったのでは」というご意見があるかも知れませんが、治療の進歩により、内科的にコントロールできる範囲が広がっています。手術をすれば、合併症や術後の機能障害など一定のリスクがあるため、どうしても内科的治療で効果が得られない場合の最終手段となっています。
難病があっても活躍できる寛容な社会を
病気は誰にでも起こり得ます。難病があるからといって、就業に制限があったり、会食が非難されたりするようなことがあってはならないと思っています。僕は、潰瘍性大腸炎を発症した際に、「控えるべき食事リスト」を渡されました。今思えば、「病状が悪い時に控えた方がいい食べ物リスト」くらいの意味だったと思うのですが、当時は情報も少なく、忠実に食事制限をしていたところ、食べられるものがほとんどなくなってしまいました。高校の下校時に友人たちとファミレスに立ち寄ろうとなった時も、「自分は食べられるものがないから」と避けているうちにコミュニケーションがぎくしゃくして学校からも足が遠ざかり、社会との接点を失いかけた経験があります。
食事制限を厳格に行うことは、病気のことだけを考えれば正しいのですが、それが人生に悪影響を与えるとなれば本末転倒ではないでしょうか。潰瘍性大腸炎をはじめ、一生涯付き合うことになる疾患は少なくありません。病気が人生に影響を及ぼすことは避けられませんが、病気を人生の中心にしなくてもいい世の中になってほしいと願っています。
安倍首相に向けられた言葉の中には、「病人は病人らしく、わきまえて過ごすべきだ」といった趣旨のものがありましたが、これらは現在、治療している患者さんをも傷つける言葉だと思い、筆をとりました。疾患を持つ方の人生を「病気があるから」と制限するのではなく、病気の特徴を知り、その人の能力が最大限発揮されるよう、協力し合える社会になればいいなと思っています。(石井洋介 日本うんこ学会会長)
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結論が違います
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「病人は病人らしく、わきまえて過ごすべきだ」というのは違うと思う。潰瘍性大腸炎もしくはあらゆる難病・障害による就業制限はないけれど、障害枠で作業...
「病人は病人らしく、わきまえて過ごすべきだ」というのは違うと思う。潰瘍性大腸炎もしくはあらゆる難病・障害による就業制限はないけれど、障害枠で作業労働をしているのではなく、社会的に責任ある仕事をしていれば、責任に応じた判断能力を維持するための体調管理は誰でも求められる。例えば脳神経外科医が今日は持病の調子が悪くて手術失敗しました、と言われて亡くなった患者の遺族は納得できるか?大型トラック運転手が持病の潰瘍性大腸炎が悪化してトイレに急ぎたかったと注意不足で子供を轢き殺して、仕方がないねで済ませられるか? そうした現実の問題に向き合わず、言葉の上っ面で「現在、治療している患者さんをも傷つける言葉だ」という医師がいる方が、色々抱えながら社会で生きている患者を傷づける言葉です。できない部分から目を逸らす上っ面では、「病気の特徴を知り、その人の能力が最大限発揮されるよう、協力し合える社会」は実現しません。
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私もそうです。
にのみん
私も潰瘍性大腸炎の患者です。 今現在は寛解期ですが、薬はマックスで服用しています。 どの病気もそうだと思いますが、辛さや苦しみはなってみなければ...
私も潰瘍性大腸炎の患者です。
今現在は寛解期ですが、薬はマックスで服用しています。
どの病気もそうだと思いますが、辛さや苦しみはなってみなければわからないものですよね。
本人だってなりたくてなったわけじゃないし。
健康な人からはなかなか理解されないものでしょうね。
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