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がんを語る

医療・健康・介護のコラム

頭頸部がん(上) 口内の痛み「最初は虫歯かと思った」 食べる、話す、「見た目」の悩み

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 「がんを語る」第8回のテーマは頭頸(とうけい)部がんです。日本歯科大学病院が協賛する「頭頸部がん患者友の会」のご協力を得て、3人の患者さんと、同病院の言語聴覚士で会長の西脇恵子さんを、オンライン会議システムで結んで開催しました。頭頸部がんは、口や鼻、のどなどにできるがんで、食べる、話すなどの機能や見た目への影響も大きいのが特徴です。治療後のリハビリや後遺症のケア、患者会の役割などについて語っていただきました。

  頭頸部がん  咽頭がん(上咽頭、中咽頭、下咽頭)や喉頭がん、口腔(こうくう)がん(舌がんなど)、鼻副鼻腔がん(上顎洞がんなど)、唾液腺がん(耳下腺がんなど)、甲状腺がんなど、顔や首の部位にできるがんで、多くの種類がある。全国がん登録(2017年)によると、全国の1年間の新規患者数は、口腔・咽頭がんが約2万2000人、喉頭がんが約5000人、甲状腺がんが約1万8000人。
頭頸部がん 口内の痛み「最初は虫歯かと思った」 食べる、話す、「見た目」の悩み

治療後の副作用で緩和治療も

――まず、みなさんのがんの種類や経過について教えてください。

頭頸部がん 口内の痛み「最初は虫歯かと思った」 食べる、話す、「見た目」の悩み

山崎さん(左端)、西脇さん(右端)

A男 2016年に上顎洞がんが見つかりました。歯茎の奥の腫れに気づいて、最初は歯科にかかったのですが、1か月ほどでみかんぐらいにまで大きくなり、12月に口腔外科の検査で診断されました。すぐに手術が必要であるとの説明を受け、翌年1月に左上顎の骨と歯と鼻梁(びりょう)の一部を含む患部の全摘出と顔面の再建手術をしました。がんは思った以上に広がっていて、目の下の骨の安全域が1センチも確保できなかったとのことで、手術後に目が見えたことにほっとしました。

 いったん退院した後、抗がん剤と放射線治療のため、再び約2か月入院し、治療を受けました。入院中、原因不明の発熱や、左胸から肩にかけての激痛などの症状があり、痛みを緩和するための医療用麻薬が必要なほどでした。退院後もしばらく飲んでいました。会話もできるし、トイレも自分で行けましたが、食欲がなく口の中は口内炎だらけになるなど、様々な副作用に悩まされました。

 耳は遠くなり、目も涙目になるなど、耳鼻科や眼科、整形外科、口腔外科を回るような生活を続けていたのですが、ある日、リハビリ科の打ち切りを告げられました。「90%達成」というのですが、自分としては、口は2センチぐらいしか開かないし、とても満足はできません。マウスピースをなくすなどのトラブルも重なったのですが、最初にかかった歯科医さんに相談したところ、今の大学病院付属のクリニックを紹介されました。おかげでリハビリを再開することができ、自分としてもやる気を失わず、頑張ることができています。

舌を切除後、脚の組織を移植

B男 12年前、54歳の時に、前立腺がんと中咽頭がんを発症しました。前立腺がんは治療で完治したのですが、中咽頭がんの方はかなりやっかいなことになっています。のどの痛みで40歳代の半ばから、耳鼻科の受診を繰り返していました。鼻の内視鏡の検査なども受けたのですが、はっきりした診断がつかず、調べてもわからないなら仕方ないかと思って、ほうっておいたんです。

 それが偶然、前立腺がんの手術を受けることになった際、口の中を診た医師が舌にしこりがあるのを見つけて、耳鼻科で組織をとって検査をしたところ、中咽頭がんだということを告げられました。翌月、別の病院で、中咽頭がんの手術を受けました。がんは舌にも広がっており、舌も切除しました。

 再発予防のために、のどや下あごの部分に放射線治療をしました。その後、肺に転移が見つかり、3回の手術を受けました。今は、障害がありながらも、普通の生活を送っています。

頭頸部がん 口内の痛み「最初は虫歯かと思った」 食べる、話す、「見た目」の悩み

山崎(写真) 2019年の春ごろ、口の中の違和感で市民病院にかかったところ、舌がんと診断されました。がんは最も進行したステージ4との診断で、別の病院を紹介され、その年の6月に手術を受けました。手術では舌の8割を切除して、首回りのリンパ節も切除しました。舌を切除した痕には、大腿(だいたい)部から切除した組織を移植しました。約9時間近い手術でした。現在も2か月に1回ほど通院して、リハビリや歯科にかかっています。

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がんを語る
男性の3人に2人、女性の2人に1人が、がんになる時代です。このコーナーでは、がん種別に患者や経験者を招き、病との向き合い方を話し合います。
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