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今井一彰「はじめよう上流医療 あいうべ体操で元気な体」

エクササイズ・健康・ダイエット

ミャンマーに響く「あ~、い~、う~、べ~」  子どもの健康願う日本人歯科医の挑戦

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ミャンマーに響く「あ~、い~、う~、べ~」  子どもの健康願う日本人歯科医の挑戦

右手前は、妹の世話のため、一緒に僧院学校に通う男の子。みんなで「あー、いー、うー、べー」

 至る所に水たまりのある道なき道を、SUVが大きな車体を揺らしながら分け入っていくと、簡素な作りの校門が見えてきます。

 ミャンマー最大の都市ヤンゴンから車で9時間、ミャンマー中央部にあるチュエガン村僧院学校です。ここでは、就学前の児童から高校生までが学んでいます。学校といってもエアコンはもちろん、遊具など何もありません。近年まで水道もありませんでした。そんな場所で、子どもたちの「あいうべ~」という声が聞こえます。まさに“こんなところに「あいうべ体操」”です。

後輩歯科医の遺志を継いでミャンマーへ

 仕掛け人は小児歯科医の松本敏秀先生。きっかけは20年ほど前にさかのぼります。「いつかミャンマーの歯科医療を充実させたい」と熱いおもいを抱いて日本へ来たミャンマー人留学生と、留学地の九州で知り合った日本人の妻。2人は2003年、ヤンゴンに小児歯科クリニックを開業しました。ミャンマーでは初めての施設でした。ところが、その3年後、日本人妻は2児を残して急逝したのです。どれほど無念だったでしょう。

 松本先生は、その5年後の2011年、遺志を継いでミャンマーヘ渡りました。亡くなった女性が、大学医局の後輩という縁があったのです。とはいえ、当時盛業だった自分の歯科医院を閉めて取り組んだのですから、その本気度がうかがえます。日本の約1.8倍の国土に人口約5千万人、130を超える多様な民族が暮らすミャンマー。松本先生の取り組みは、その努力が実って着実に現地に根付いています。

自分が提供した水道設備の前で、歯みがき指導をする松本医師。持っているのは奥様手製の歯みがき人形

自分が提供した水道設備の前で、歯みがき指導をする松本医師。持っているのは奥様手製の歯みがき人形

子どもたちとの4つの約束

 医療や社会福祉は遅れ、公的医療保険制度もなく、歯ブラシも粗悪品ばかり。病気になっても近くに医者はいない。だからこそ、お金を使わずに健康を維持する予防医学が必要。そこでまず、1)手洗い2)うがい3)歯みがきを徹底させることにしました。日本から渡航するときの荷物は歯ブラシでいっぱい、水道のない施設には簡易水道設備を提供しました。

お金かからず、簡単な「あいうべ体操」

 そんな中、なるべくお金をかけずに健康になれるものをということで松本先生が目を付けたのが「あいうべ体操」でした。3つの約束にあいうべ体操を加えて、4つの約束を記した用紙をミャンマーで配布したのです。時間と場所を選ばない、子どもでもすぐに覚えられる、そしてお金も薬も不要と良いことずくめと評価してくださったのです。

子どもの歯石が激減した施設も

 「報酬は子どもらの笑顔」。そう松本先生は言い切ります。ヤンゴン郊外の児童養護施設「ドリームトレイン」も、松本先生の想いが継承されている施設の一つ。当初は約40%の子どもに歯石がありましたが、5年後にはわずか1%にまで激減し、子どもたちの口の状態は改善しました。どこの施設に行っても、子どもたちの笑顔が松本先生を出迎えます。

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今井 一彰(いまい・かずあき)

 みらいクリニック院長、相田歯科耳鼻科内科統括医長

 1995年、山口大学医学部卒、同大学救急医学講座入局。福岡徳洲会病院麻酔科、飯塚病院漢方診療科医長、山口大学総合診療部助手などを経て2006年、博多駅近くに「みらいクリニック」開業。日本東洋医学会認定漢方専門医 、認定NPO法人日本病巣疾患研究会副理事長、日本加圧医療学会理事、息育指導士、日本靴医学会会員。

 健康雑誌や女性誌などに寄稿多数。全国紙、地方紙でも取り組みが紹介される。「ジョブチューン」(TBS系)、「林修の今でしょ!講座」(テレビ朝日系)、「世界一受けたい授業」(日本テレビ系)、「ニュースウオッチ9」(NHK)、「おはよう日本」(同)などテレビやラジオの出演多数。一般から専門家向けまで幅広く講演活動を行い、難しいことを分かりやすく伝える手法は定評がある。

 近著に「足腰が20歳若返る足指のばし」(かんき出版)、「はないきおばけとくちいきおばけ」(PHP研究所)、「ゆびのば姿勢学」(少年写真新聞社)、「なるほど呼吸学」(同)。そのほか、「免疫を高めて病気を治す口の体操『あいうべ』」(マキノ出版)、「鼻呼吸なら薬はいらない」(新潮社)、「加圧トレーニングの理論と実践」(講談社)、「薬を使わずにリウマチを治す5つのステップ」(コスモの本)など多数。

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