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森本昌宏「痛みの医学事典」

医療・健康・介護のコラム

「テニス肘」初心者は外側、熟練者は内側に…安易なマッサージはNG!

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「テニス肘」初心者は外側、熟練者は内側に…安易なマッサージはNG!

 今回は、スポーツなどで肘を使い過ぎることによって生じる肘関節周辺の痛みに焦点を絞って紹介する。

 様々なスポーツ特有の動作を繰り返すことで発生する肘の痛みは、ボールやバットを使う野球、ラケットを用いる競技などで多くみられる。たとえば、投げる動作では「よじれ」、球を打つ動作では「よじれと衝撃」、体操などでは「体を支えることによる負荷」を、肘に強いている。

 成長期と成人になってからでは、障害発生のメカニズムが違う。また、肘の「内側」「外側」「後方」のいずれに強い痛みを生じるかは、競技によっても異なる。

野球肘…15歳以前の酷使が原因に

 野球の本場である米国では、古く1941年、野球選手の肘の変化について“ベースボールエルボー”として報告されている。「野球肘」といっても、この変化は野球に限らず、陸上の投てき競技全般にみられる。したがって、「 (やり) 投げ肘」とも呼ばれている。

 野球の投球動作では、ワインドアップから腕を外側に回し(コッキングという)、次いで加速してボールをリリース、腕を減速してフォロースルー……といった一連の運動が行われる。このうちコッキングから加速を始めるまでの間では、肘関節の内側に強い力が加わる。また、肘関節の外側においても、上腕骨と (とう) 骨(前腕の親指側の骨)の間に強い圧力がかかる。これらの運動を繰り返すことで、上腕骨の内側と外側に付いている筋肉や 靭帯(じんたい) (腱)に炎症や損傷を引き起こすのだ。投球により痛みが誘発されるのが特徴で、前腕を走っている 尺骨(しゃっこつ) 神経が締め付けられる「 肘部管(ちゅうぶかん) 症候群」を起こしていることもあるため、注意を要する。

 少年野球などで、15歳以前に肘を酷使した場合、まだ成長していない骨( 骨端(こったん) 線)がはがれて“リトルリーガーズエルボー”(離断性骨軟骨炎)となり、無理を続けると変形を起こしてしまう。これには肘関節を形作る上腕骨の骨端線が閉じる(軟骨であった部分が骨になる)時期が関係する。骨端線が閉じる時期は、遅い場合には15~16歳。それ以前の酷使が原因となり、小学生高学年~中学生で多くみられる。

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森本 昌宏(もりもと・まさひろ)

 大阪なんばクリニック本部長・痛みの治療センター長。
 1989年、大阪医科大学大学院修了。医学博士。同大学講師などを経て、2010年、近畿大学医学部麻酔科教授。19年4月から現職。日本ペインクリニック学会専門医、名誉会員。日本東洋医学会指導医。著書に『ペインクリニックと東洋医学』『痛いところに手が届く本』ほか多数。現在、大阪市北区の祐斎堂森本クリニックでも診療中。

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