子どもの健康を考える「子なび」
医療・健康・介護のコラム
成長期のスポーツ(17)サッカー 腕や手のけがも
成長期のスポーツでは、日本スポーツ医学財団理事長の松本秀男さん(66)に聞きます。(聞き手・西原和紀)
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ボールに反応する瞬発力と走り続ける持久力。その両方が求められるサッカーは、外傷と障害がともに多くなっています。
やはり目立つのが足のけがです。最も問題になるのが膝の「前十字 靱帯 」の損傷で、手術になることが多く、ジャンプの着地時などには注意が必要です。膝の「 内側 側副靱帯」の損傷や足首の捻挫などもあります。
障害では、成長期に起きやすい膝の「オスグッド病」が挙げられます。蹴ることを繰り返すことで膝の軟骨「半月板」を痛めたり、足の甲の部分( 中足骨 )を疲労骨折したりもします。
一方で、意外と多いのが、腕や手のけがです。ゴールキーパーに限った話ではなく、接触プレーで転倒したり、手をついたりすることで、肘の脱臼や手首の骨折などがよく起きます。
私自身、中学から大学までサッカーに打ち込みました。5歳から習っていたピアノの先生に「手のけがをしない」と勧められたのがきっかけでしたが、手首の骨折をしました。今思えば、全くの誤解でしたね。
注意してほしいのが、ヘディング。頭同士を強くぶつけたり頭を蹴られたりして、脳しんとうを起こすことがあります。通常のヘディングでもボールの衝撃は大きく、軽い脳しんとうを繰り返しているとも言えます。
近年増えている女子選手は、内股で転ぶため、前十字靱帯を損傷しやすいほか、膝のお皿( 膝蓋骨 )が外側にずれる「膝蓋骨不安定症」が目立ちます。
けがが絶えないスポーツですが、国際サッカー連盟(FIFA)などが作成した予防プログラムが、日本サッカー協会のホームページで公開されています。参考にしてみてください。
【略歴】
松本秀男(まつもと・ひでお)
整形外科医。慶応大卒。慶応大スポーツ医学総合センター教授などを経て、2019年4月から現職。
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