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世界初「長野モデル」で産後の自殺を予防

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 自殺念慮を抱く産後女性に対し確立した介入方法は存在せず、対応に苦慮する現状がある。厚生労働省研究班(研究代表者:国立成育医療研究センターこころの診療部乳幼児メンタルヘルス診断科部長の立花良之氏)は、長野市の母子保健事業との協働で、世界初となる産後女性の自殺予防対策プログラム「長野モデル」を開発したと、BMC Psychiatry( 2020;20:389 )に発表した。

早期にスクリーニングし、多職種連携でサポート

世界初「長野モデル」で産後の自殺を予防

(C)Getty Images ※画像はイメージです

 同センターの研究によると、2015~16年に報告された妊産婦の自殺は102例で、身体的な原因による死亡の74例を抑え、周産期における死因の第1位となっていた。妊産婦の自殺は胎児および出生児の死亡にもつながるため、妊産婦の自殺予防対策は極めて重要である。

 産後女性の自殺の原因となる産後うつ病は、早期発見・早期治療を行うことで良好な転帰が見込める。そのため、母子保健における介入プログラムの確立により、多くの命を救うことができる。しかし、これまで国内外において産後女性の自殺予防に対する有効な介入プログラムはなかった。

 そこで立花氏らは、世界初となる産後女性の自殺予防対策プログラム「長野モデル」を開発。同モデルでは、新生児訪問時に保健師が全ての母親に対し、10項目から成る「エジンバラ産後うつ病質問票(EPDS)」などを用いて自殺念慮をスクリーニングする。自殺念慮があると判断した場合、保健師、精神科医、産科医、小児科医、助産師、看護師、医療ソーシャルワーカーなどの多職種チームが連携してサポートに当たる。

自殺念慮だけでなく、メンタルヘルスも改善

 立花氏らは、長野モデル開始前に出生届を提出した母親230人(対照群)と開始後に提出した234人(介入群)を対象に、長野モデルの有効性を検証した。その結果、対照群に比べ介入群では、3~4カ月児健診時に実施したEPDSにおいて、自殺念慮を反映する質問項目の点数、合計点が有意に低く(P=0.014、P<0.001)、母親の自殺念慮だけでなく、メンタルヘルスも地域全体で改善されていることが明らかになった。

 さらに、7~8カ月児健診時にもEPDSを実施したところ、対照群に比べ介入群では、EPDSの合計点が有意に低く(P=0.049)、3~4カ月児健診時に見られたメンタルヘルスの向上効果は、7~8カ月児健診時まで持続することが示された。

 同氏らは「長野モデルは、既存の母子保健システムに自殺対策の手法を取り入れており、新たな資源や資金は不要。こうしたプログラムが普及すれば、産後女性の自殺防止やメンタルヘルスの改善につながるだろう」と期待感を示した。(比企野綾子)

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