常喜眞理「女のココロとカラダ講座」
医療・健康・介護のコラム
お刺し身を食べたら急に吐き気と胃痛が…「アニサキス症」一度かかると繰り返す可能性
虫体に対するアレルギー
健診の胃内視鏡検査で、無症状の方の胃にかみついているアニサキスを発見することは、多くの内視鏡医師が経験している。つまり、皆がアニサキス症で苦しむわけではないのだ。症状が出るか出ないかにはアレルギーの関与が疑われ、魚そのものではなくアニサキスの虫体にアレルギーを起こし、胃腸の粘膜がむくむ。そのため、胃腸の動きで強烈な痛みを生じるのだ。また、皮膚にじんましんを起こすこともある。
実際、アニサキス症になった方は、アニサキス虫体に対するIgE抗体(アレルギー反応を起こす体の免疫タンパク質)が高値であることが多い。治療も、急性のアレルギー疾患と同じように、胃薬よりはステロイドや抗アレルギー薬が症状を和らげる。他の食物アレルギーと同様、一度症状を起こした方は、残念ながらその後も症状を繰り返す。昨日まで大丈夫だった人も、明日はアレルギーを起こすかもしれない。アニサキス虫体が見つからない生魚でも症状が出ることがあり、アレルギーと考えれば、どこかでアニサキスが触れただけの魚でも生で食べると症状が出るのはうなずける。
アニサキスは、加熱はもちろん、-20度以下で24時間以上、中心部まで冷凍すると死滅する。冷凍技術が進んだ現在、その技術を上手に生かして安全に新鮮な生魚を楽しめるような配慮を、食にかかわる方には、ぜひお願いしたい。(常喜眞理 医師)
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