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山中龍宏「子どもを守る」

医療・健康・介護のコラム

5分でも死に至る「窒息」 食べながら走ったり、笑ったり…が危ない

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窒息は子どもの事故の28%を占める

 人口動態統計(2018年)によれば、15歳未満の「不慮の事故死」は287人、そのうち窒息死(溺死などを除く)は81人と28%を占め、0歳51人、1~4歳18人、5~9歳6人、10~14歳6人でした。0歳児では、その80%が窒息でした。内訳は、「胃内容物の誤嚥・吸引」「気道閉塞を生じた食物の誤嚥・吸引」「気道閉塞を生じたその他の物体の誤嚥・吸引」「詳細不明の窒息」の四つに分けられますが、胃内容物の誤嚥による窒息の原因がミルクとされている場合には、ミルクが直接の原因なのか、解剖時に気管内にミルクが認められただけなのかを判断することはたいへん難しいものです。また、0歳児で最も頻度が高い突然死は、乳幼児突然死症候群(Sudden Infant Death Syndrome:SIDS)ですが、突然死で解剖された例を検討しても、死因が窒息であるのか、SIDSであるのか、はっきりしないケースが多くあります。乳幼児以外でも、脳性 麻痺(まひ) 、精神運動発達遅滞、喉頭部の奇形など、基礎疾患がある子どもでは窒息の危険性が高くなります。

蘇生しても低酸素性脳症のリスク

 空気は鼻や口から、食べ物は口から喉に入ると、喉の奥で、食べ物は食道へ、空気は気管へと分かれて入るようになっています。食べ物を飲み込むときは、気管の入り口にある喉頭蓋が気管にふたをして、入り込まないようにしています。乳幼児では、この働きが鈍く、気管にものが詰まりやすいのです。また、子どもは食べながら、走ったり、遊んだり、笑ったり、泣いたりします。その時、大きく息を吸い込むと、口の中にある食べ物が気管に入って詰まってしまいます。

 窒息は瞬時に発生し、5~6分間、気道が閉塞されると死亡することもあります。心肺蘇生によって蘇生したとしても、低酸素性脳症となって、その後の生活に大きな支障をきたすことにもなります。ですから、保護者は、窒息に関する知識を持っておく必要があります。次回から、具体的な窒息についてお話しします。(山中龍宏 緑園こどもクリニック院長)

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山中 龍宏(やまなか・たつひろ)

 小児科医歴45年。1985年9月、プールの排水口に吸い込まれた中学2年女児を看取みとったことから事故予防に取り組み始めた。現在、緑園こどもクリニック(横浜市泉区)院長。NPO法人Safe Kids Japan理事長。産業技術総合研究所人工知能研究センター外来研究員、キッズデザイン賞副審査委員長、内閣府教育・保育施設等における重大事故防止策を考える有識者会議委員も務める。

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