産業医・夏目誠の「ハタラク心を精神分析する」
医療・健康・介護のコラム
「ぶら下がりオジサン」が最大ストレス……若手は働きがいのある職場に転職
日本企業の特徴として、終身雇用、年功序列、企業別組合は“三種の神器”と言われ、この体制で経済成長を成し遂げ、不況も乗り切ってきました。不況になっても希望退職などを行わずに社員の雇用を守る一方で、新規採用を抑制し、有期雇用の非正規社員の雇い止めなどで乗り切ってきました。しかし最近は産業医の立場で大企業を観察していても、「中高年社員優遇」から「若手重視」にシフトする兆しが感じられます。黒字企業でも45歳以上社員の希望退職募集が目につくといったことです。企業経営の変化は私の専門ではありませんが、ストレスを抱える社員の相談を受けていると、こうした変化が影響しているので、人事政策は気になります。
大卒の3割が3年でやめる
中堅メーカー人事部長の相談です。
人事部長:気になることがあります。若手の有能な社員が辞めていくんですよ。この4、5年増える一方です。
私 :大卒は3年で3割が退職と言われていますね。
人事部長:うちは4割です。仕事ができる入社3~5年目の社員が辞めてしまうため困っています。期待している人材ですからねぇ。
私 :うーん。
人事部長:半数ぐらいは他社の引き抜きです。
私 :優秀なんですね。
人事部長:だから困るんですよ。育成に3年は掛かっていますから。
私 :どう対応しようとしているんですか?
人事部長:引き抜き先の企業は3割以上も給与がいいんです。手の打ちようがありません。
私 :うーん。
「口ばかりおじさん」が最大ストレス
企業で行われているストレスチェックの高ストレス者面談で、26歳の技術者と話し合う機会がありました。
私 :産業医の夏目です。チェックの結果では、職場の人間関係が悪く、仕事量が多いのが問題ということです。疲れやすく、不眠症状もありますね。
中垣さん:そうなんです。実は退職しようと思っています。入社5年目になりますが、好条件でスカウトされています。給与が3割増し。福利厚生も良い。それに上司の40歳代の課長待遇と合わないんですよ。口ばかり達者。ゴマすりはうまいが、若手には厳しく当たる。「今時の若者はダメだ」が口癖。態度も声も大きくて、最低ですよ。
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