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田村専門委員の「まるごと医療」

医療・健康・介護のコラム

新型コロナの影響で患者数が激減 小児科、耳鼻咽喉科、眼科で大きく

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5月、小児科はほぼ半減

新型コロナの影響で患者数が激減 小児科、耳鼻咽喉科、眼科で大きく

 新型コロナウイルス感染症の影響で、医療機関の患者数が4、5月にかけて大きく減少したことが、厚生労働省のまとめで分かった。8月19日に開かれた厚労相の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)に、各種機関などの統計、調査を基にしたデータを示した。前年同月比で3月は9割程度、4、5月は8割程度にまで患者が減少していた。診療科別では、特に小児科が5月は半分近くに激減したのをはじめ、耳鼻咽喉科や眼科で減少幅が大きかった。

医科、歯科、調剤とも減少

 社会保険診療報酬支払基金と国保連合会の統計データからレセプト(診療報酬明細書)の件数を基に、厚労省が機械的に行った計算結果を示した。それによると、5月の医科、歯科、調剤(保険薬局)を合わせた総計で、前年同月比、前々年同月比の8割程度に減少していた。医科、歯科、調剤のいずれも減少が見られた。

 入院、外来別では、入院が5月の前年同月比、前々年同月比で85%台に減少したのに対し、外来は79%台にまで減少しており、外来の方が減少幅が大きかった。

病院、診療所とも

 医科の社会保険診療報支払基金データから病院、診療所別にみたところ、どちらも5月の前年同月比、前々年同月比で75~76%台に減少していた。医科診療所の診療科別の分析では、5月の前年同月比で小児科は53%台と半数近くに減少していた。次いで耳鼻咽喉科が58%台、眼科が67%台と減少幅が大きかった。

 地域別では、特定警戒都道府県の方が、その他の県よりも減少幅が大きかった。

救急搬送件数も8割前後に減少

 救急搬送も減少している。東京都における救急搬送(東京消防庁調べ)は、出場件数が4月は前年同月比で75%台、5月が77%台だった。6月は85%台、7月83%台とやや戻りつつあるものの、減少傾向は変わっていない。

 また、日本病院会、全日本病院協会、日本医療法人協会による調査(2020年度第1四半期)によると、外来患者延べ数が減少するなかで、特に初診の患者数が大きく減少している傾向がみられた。6月に入って、やや回復傾向がみられるものの前年の水準には戻っていない。手術件数は、緊急手術に比べて定例手術が大きく減少しているほか、内視鏡の検査・治療件数も前年に比べ減少した。

医療体制の安定確保を

 こういった患者数の減少には、外出自粛に伴う患者の受診控えや、待機的な手術の延期・中止、新型コロナ患者の受け入れ体制確保のための外来や入院体制の縮小などが影響しているとみられている。

 こういった変化が一時的なものなのか、今後も続くのか、新型コロナウイルスの流行の先行きは不透明だ。患者の受診の手控えが続けば、病気の発見の遅れや症状の悪化などが懸念される。そういった中で、効率性の面などから従来、縮小や統廃合の対象とされてきた地域医療の重要性が見直されたり、逆に不要不急の過剰な医療の存在があぶり出されたりといった指摘もある。

 何よりまず必要なのは、医療体制を崩壊させないための国による支援だ。新型コロナウイルスの診療を担う医療機関や医療者に対する偏見や差別があってはならないことは、言うまでもない。(田村良彦 読売新聞専門委員)

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田村 良彦(たむら・よしひこ)

 読売新聞東京本社メディア局専門委員。1986年早稲田大学政治経済学部卒、同年読売新聞東京本社入社。97年から編集局医療情報室(現・医療部)で連載「医療ルネサンス」「病院の実力」などを担当。西部本社社会部次長兼編集委員、東京本社編集委員(医療部)などを経て2019年6月から現職。

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