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大阪で重症者急増、半月で3倍以上…「医療崩壊」に懸念

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大阪で重症者急増、半月で3倍以上…「医療崩壊」に懸念

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く大阪府で、重症者の急増に警戒感が高まっている。府内の重症者は8月1日時点の20人から約半月で3倍以上になり、他都市に比べて突出。重症者用病床は4割近くが埋まっている。高齢者施設でのクラスター(感染集団)発生が一因とみられるが、重症病床は拡充に限界があり、府は近く対策本部会議を開き対応を協議する。

■東京より多く

 大阪府内の重症者は17日現在計70人。3~4月の感染拡大期のピーク時(65人)を上回り、感染者が最も多い東京都の27人の3倍近い。他の都市部は愛知県13人(16日現在)、福岡県21人(同)などで、大阪府の多さが際立つ。

 厚生労働省は重症者の定義を〈1〉人工呼吸器を装着〈2〉体外式膜型人工肺(ECMO=エクモ)を装着〈3〉集中治療室で治療中――のいずれかに該当する患者とする。大阪府はこれに準じている一方、東京が〈3〉を含めないなど異なる基準で、単純比較はできないが、府の担当者は「重症者が大阪の現状での最大の課題だ」との認識を示す。

 府が一つの要因とするのが重症化リスクの高い高齢者施設や病院でのクラスターが目立ち始めていることだ。

 6月中旬以降の「第2波」では当初、若者の感染が大半だったが7月下旬に高齢者施設3か所でクラスターが発生。8月に入り、さらに9か所確認され、高齢者施設でのクラスターは今春の「第1波」での数を上回り、この計12か所での感染者は159人に上っている。

 また病院4か所でのクラスターも確認され、この関連の感染者は82人になる。

 今春の「第1波」では、死者86人のうち70歳代以上が8割。感染経路では「院内感染」が45%を占めた。府は「施設や病院での感染は死者の増加に直結しかねない」とし、保健所を通じ、施設や医療機関に感染予防の徹底を呼びかけている。

■医療崩壊の懸念

 今後の懸念は、病床不足で治療が十分にできない「医療崩壊」に陥ることだ。

 府の重症者用の病床使用率は17日現在、37・2%。医療体制が 逼迫ひっぱく しているとされる沖縄県(61・3%)より低いが、東京都(27%)を大きく上回っている。

 府が確保する重症病床の数は14病院で計188床。府では警戒レベルを示す独自基準「大阪モデル」で、医療崩壊の恐れが生じる「非常事態」の基準を「重症病床使用率70%」と定めており、現状はまだ余裕があるが、使用率は8月1日からの約半月で25ポイント以上も跳ね上がった。府幹部は「歯止めをかけなければ医療崩壊が現実になりかねない」と懸念を口にする。

 府は今後、これを215床まで増やす方針だが、それ以上の拡充は、医療スタッフや機器の確保が難しい。建設を予定している重症者専用のプレハブ入院施設「大阪コロナ重症センター」(約60床)も運用開始は11月になる見通しだ。

     ◇

 大阪府での重症者急増について、吉村洋文知事は14日、記者団に「大阪では死者を減らすため、できるだけ早めに人工呼吸器を付けていると聞いている」と述べ、医療機関での独自の対応が要因との見方を示した。

 これに対し、医療関係者からは知事の誤解を指摘する声が上がっており、中等症・重症患者を診療する大阪市立総合医療センターの白野倫徳・感染症内科医長は「各地の医療関係者とも情報交換しているが、大阪で他地域より早く人工呼吸器を装着している状況ではない」とし、「やはり高齢者施設や医療機関での感染拡大が原因ではないか」と述べた。

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