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田村専門委員の「まるごと医療」

医療・健康・介護のコラム

新型コロナウイルスと共存するには 差別、偏見の課題

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高田礼人・北海道大学教授に聞く

新型コロナウイルスと共存するには 差別、偏見の課題

 新型コロナウイルス感染症の現状について、ウイルス学の専門家はどうみているのか。人類とウイルスの関係について分かりやすく解説した「ウイルスは悪者か」の著書などで知られる北海道大学人獣共通感染症リサーチセンター教授の高田礼人(あやと)さん(写真)に、オンラインで話を聞きました。

――新型コロナウイルスをめぐる状況をどう見ていらっしゃいますか。

 今、最も懸念していることのひとつに、差別や偏見の問題があります。無症状の人からでも感染するウイルスということもあり、感染を完全に防ぐごとはできません。だれにでも感染する可能性はあります。それなのに、何か悪いことをしたから感染するような間違ったイメージからか、感染者に対しての差別や偏見があります。感染した人が謝らなくてはならないような風潮もありますが、これもおかしなことだと思います。感染を完全に防ぐのは無理だという前提で、考えておいてほしいと思います。感染した人が悪いのではありません。

 検査についての誤解も多いと思います。安心のために抗体検査を受ける動きがあるようですけれど、抗体検査は過去に感染したかどうかを調べるものです。結果が陰性ということは、これから感染する可能性があるか、感染して間もないかという意味であって、「安心」ということではありません。逆に抗体検査で「陽性」と出ても、検査の精度の問題などもあり、今後絶対に感染する可能性がないとも言い切れません。PCR検査も含めて、感染していないことを100%証明する検査はないことを分かってほしいと思います。

5番目の風邪ウイルスになる可能性も

――新型コロナウイルスそのものについては、どうお考えですか。

 新型コロナウイルスの病原性はそれほど高くはありませんし、そこまでインパクトのあるウイルスではないというのが、正直なところです。もちろんたくさんの方が亡くなっていますし、放っておいていいという話では全くないのですが、一方で経済をどうするのかということもあり、バランスをどう取るのかは非常に難しい問題なのだと思います。

 人に感染するコロナウイルスとしては、4種類の風邪ウイルスのほか、病原性の高いSARS(重症急性呼吸器症候群)、MERS(中東呼吸器症候群)が知られていました。人以外の動物の感染症だと、風邪以外のもっとひどい病気を引き起こすコロナウイルスがありますが、人では主に呼吸器症状を起こすウイルスしか知られていません。

――新型コロナウイルスは、SARS‐CoV‐2(サーズコロナウイルス2)と名付けられています。

 この6種類の中では、SARSコロナウイルスに遺伝子が最も近かったので、そう名付けられたのですが、ものすごく近いというわけでもありません。感染者の一部で重症肺炎を引き起こすこともあり、そういう名前が付いたわけです。とは言え、多くは無症状か軽症であることが分かってきましたし、このまま行けば、5番目の風邪ウイルスになるのではないかといった感じで見ています。

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田村 良彦(たむら・よしひこ)

 読売新聞東京本社メディア局専門委員。1986年早稲田大学政治経済学部卒、同年読売新聞東京本社入社。97年から編集局医療情報室(現・医療部)で連載「医療ルネサンス」「病院の実力」などを担当。西部本社社会部次長兼編集委員、東京本社編集委員(医療部)などを経て2019年6月から現職。

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1件 のコメント

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言動や行動のエスカレートを防ぐために

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

4月1日の記事から、現実には個人も社会も様々な適応が始まっています。 過度の差別や自粛強要が進めば、あるいは良識ある一般人や政治家が庇ってくれな...

4月1日の記事から、現実には個人も社会も様々な適応が始まっています。

過度の差別や自粛強要が進めば、あるいは良識ある一般人や政治家が庇ってくれなければ、医療人もインフラ人も撤退や脱走が増えるでしょうし、それが本来的なのかもしれませんね。
物理的や精神的に対価に見合わない仕事は長続きしません。
過度な統制は医療人のみならず社会全体を疲弊させ、結果的に個々人全員を追い詰めます。

もしも新型コロナが万人にもっと致死性が強ければ、差別も区別の境界線も変わるでしょう。
平時と戦場では生き方のルールの違いに似て、自分や家族の命や生活のために他者への攻撃性が強くなるのも仕方ありません。
言い換えれば、医療人やマスコミから見て差別や偏見が目立つというのは、新型コロナが多くの日本人に欧米人ほどの致命性がないことが徐々にわかってきたことの影響で、医療人や新聞を読まない人との理解や感情のギャップが開いたせいとも言えます。

さて、この世で一番強い言葉の一つが、それがどうした、だそうですが、相手の理解や感情と一旦距離を置くいい言葉だと思います。
自分の意見も他人の意見も大事です。
そのベースとして、世の中には理不尽や不平等は沢山あったうえで線引きがなされている共通理解が大事です。

新型コロナの後の社会も同じで、本来的に持っている人間の理解や共感の多様性のパズルと無関心無行動のパズルをつかって、個々や社会が平等な不幸の共有と不平等な幸福の共有の綱引きを考える必要が生まれます。
庶民の不幸を生む戦争や暴動を避けるには、経験と代理経験の勉強による理解と共感レベルの向上が大事と思います。
SNSやネットも大事ですが、新聞、書籍、漫画で、ベースの知識や理解を深めてやる必要があります。
また、そういう習慣の無い人への伝え方も大事になります。

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