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いつか赤ちゃんに会いたいあなたへ

医療・健康・介護のコラム

わずかな凍結精子で不妊治療 3度の流産を乗り越えて奇跡のような結末に

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最後の1本の凍結精子にかけてチャレンジ

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 子供をあきらめることも視野に入れて、ご夫婦は話し合いもしたそうです。けれど、どうしてもあきらめることができず、残っている最後の1本の凍結精子を使って治療を行うことになりました。

 その際、医師からのアドバイスで、溶かした精子の残りを五つに分けてまた再凍結してもらったそうです。そこで、また治療ができるチャンスが増えることになりました。

2人の妊娠・出産に成功

 五つに分けた凍結精子を使った治療のうち、1回目の結果は残念ながら陰性、しかし2回目の不妊治療で陽性が出ました。そして、今度はようやく、無事に出産の日を迎えることができ、第1子を授かることができました! 今振り返っても奇跡のようだったといいます。その後、残りの精子をすべて使い切って治療が終わるかと思っていたら、最後の1本で、また奇跡の妊娠・出産となり、Sさん夫妻は2人のかわいい子供に恵まれることができたそうです。

 妊娠は本当に奇跡であると思わざるをえません。

夫婦げんかは数え切れないほど

 Sさんは治療の日々を振り返って、しみじみ語ってくれました。

 「夫婦げんかは数えきれないほどしてしまいました。また私は、夫に対してひどいことを言ってしまったことも何度もあります。言ってはいけないとわかっていても、どうしても、夫のせいで子供ができない、私がこんなに苦労をしている、と思ってしまうし口にだしてしまって……。夫が悪いわけではないことはわかっているけど、ほかに気持ちの持っていきどころがなかったし、私もつらかったから……」と、やりきれない思いをぶつけてしまったことを悔いているそうです。

 「何回も泣きましたし、やめようと思いました。が、やめられませんでした。よく、やめようと思っていて授かったと聞きますが、私ももう次でやめようと思っていて、授かれました。もし、授かっていなかったら、あきらめ切れずに何らかの形で続けていたと思います」

子供は天からの授かりもの

 2人のお子さんはすくすく育ってくれていて、それが何よりも幸せだとのこと。念願の子育ても苦労しながらも楽しんでいるそうです。

 よく「子供は天からの授かりもの」だといいます。私も、これまで様々なケースを見聞きしてきましたが、Sさんのお話からもそれを実感せずにはいられませんでした。不妊治療は万能な治療ではなく、すべての人が子供を授かれるわけではありません。けれどSさんのように、治療の手助けがあったからこそ授かれた命もあります。この治療が、これからも一人でも多くの悩めるカップルにとって福音となることを願うばかりです。(松本亜樹子 NPO法人Fine=ファイン=理事長)

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松本亜樹子(まつもと あきこ)

NPO法人Fine理事長/国際コーチ連盟認定プロフェッショナルサーティファイドコーチ

 長崎市生まれ。不妊経験をきっかけとしてNPO法人Fine(~現在・過去・未来の不妊体験者を支援する会~)を立ち上げ、不妊の環境向上等の自助活動を行なっている。自身は法人の事業に従事しながら、人材育成トレーナー(米国Gallup社認定ストレングス・コーチ、アンガーマネジメントコンサルタント等)、研修講師として活動している。著書に『不妊治療のやめどき』(WAVE出版)など。
Official site:http://coacham.biz/

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