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歯周病で食道がん、胃がんのリスクが上昇

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 歯周病歴を有する人では食道腺がん、胃腺がんのリスクが上昇することが示された。米・Harvard T.H.Chan School of Public HealthのChun-Han Lo氏らはNurses’Health Studyの参加者約10万例とHealth Professionals Follow-up Studyの参加者約5万例を20年以上追跡し、歯周病とがんの関係を検討した結果をGut( 2020年7月20日オンライン版 )に発表した。(関連記事「 口腔内の歯周病菌が大腸がん発生に関与 」)

約15万例を20年以上追跡

歯周病で食道がん、胃がんのリスクが上昇

(C)Getty Images ※画像はイメージです

 過去の研究では歯周病、歯の欠損と食道腺がん、胃腺がんの関係について一貫した結果が得られていない。そこで、Lo氏らは今回、対象を長期間追跡して検討を行った。

 対象は、1992~2014年にNurses’Health Studyに参加した女性9万8,459例と1988~2016年にHealth Professionals Follow-up Studyに参加した男性4万9,685例。歯の状態、社会人口統計学的属性、生活習慣、食事については追跡中に行ったアンケートで評価し、自己申告したがんについては医療記録で確認した。

食道腺がんリスク43%、腺がんリスクの52%上昇

 22~28年の追跡期間中に食道腺がんが199例、胃腺がんが238例発生した。

 Cox比例ハザードモデルを用いて年齢、コホート、追跡期間、人種、糖尿病歴の有無、BMIなどの交絡因子を調整した結果、歯周病歴は食道腺がんリスクの43%上昇〔調整ハザード比(aHR)1.43、95%CI 1.05~1.96、P=0.02〕、胃腺がんリスクの52%上昇(同1.52、1.13~2.04、P=0.006)と関連していた。

 歯の欠損がない人と比べて、歯を2本以上欠損している人では食道腺がんリスクが42%(aHR 1.42、95%CI 1.00~2.03、傾向のP=0.05)、胃腺がんリスクが33%(同1.33、0.95~1.86、傾向のP=0.09)上昇した。

 歯周病歴と歯の欠損がともにない人に対する食道腺がんリスクの上昇は、歯周病歴を有する人のうち歯の欠損がない人(aHR 1.59、 95%CI 1.04~2.41)と歯の欠損が1本以上の人(同1.59、1.04~2.44)とも59%で同等だった (図) 。また、歯周病歴と歯の欠損がともにない人に対する胃腺がんリスクの上昇は、それぞれ50%(同1.50、1.01~2.23)と68%(同1.68、1.13~2.50)であった。

図.歯周病歴、歯の欠損と食道腺がん、胃腺がんリスク

歯周病で食道がん、胃がんのリスクが上昇

(Gut 2020年7月20日オンライン版)

口腔内微生物叢が関与

 Lo氏らは、歯周病および食道がんと胃がんリスクとの関連には口腔内微生物叢が関与していると指摘。その理由の1つとして、これまでに重症の歯周病の原因菌とされる”red complex”のうち2種類(Tannerella forsythiaとPorphyromonas gingivalis)が食道がんの存在およびリスクに関連することが報告されていることを挙げた。また、口腔衛生状態の悪さと歯周病は硝酸還元菌を介して胃がんの原因となる内因性ニトロソアミンの形成を促進することも報告されている。

 以上から、同氏らは「食道がんと胃がんの発生には、口腔内微生物叢が重要な役割を果たしていることが示唆された。これらのがん発生の原因となる口腔内細菌を特定するには、口腔内微生物叢を評価する前向きの研究が必要だ。今後の研究で入手しやすい非侵襲的なバイオマーカーが見つかれば、高リスク者の特定が可能になるかもしれない」と考察した。(大江 円)

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