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医療・健康・介護のコラム

「健口」で健康(19)日頃の手入れで歯長持ち

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  このシリーズでは、予防歯科学が専門の大阪大歯学部教授、天野敦雄さんに聞きます。(聞き手・佐々木栄)

「健口」で健康(19)日頃の手入れで歯長持ち

 80歳で20本以上の歯を保つことを目指す「 8020はちまるにいまる 運動」をご存じですか。運動が始まった1989年、達成率は1割未満でしたが、2016年には半数を超えました。

 当時、80歳以上の6割は自分の歯が1本も残っていない状況でしたが、今は2割程度。日本人の歯は長持ちになっています。

 歯が多く残る人と総入れ歯の人の差はどこにあるのでしょうか。遺伝や口の中の細菌の種類、喫煙習慣など様々な要因がある中で、最大のカギは日頃の手入れです。歯の手入れに無頓着でいると、60歳を過ぎてからツケが回り、急激に歯が減っていきます。後回しにせず、早めに受診していただきたいものです。

 K弘さん(60)は、10年以上前から歯を磨くと出血し、家族に口臭を指摘されていました。ここ数年は疲れると歯茎が腫れ、鈍い痛みもありましたが、多忙で受診しませんでした。

 定年後、近所の歯科に行くと重度の歯周病と診断され、「奥歯4本は抜歯。他の歯も手は尽くすが、どれだけ残せるか」と告げられました。大学病院を受診しても見立ては同じで、手遅れでした。

 K弘さんは「治らなくてもいいから抜くのは嫌です」と訴えましたが、進行した歯周病を放置すると、糖尿病や心血管疾患を悪化させる一因になります。将来、寝たきりになってから痛みが出ても十分な歯科治療はできず、痛みに耐える生活が待っています。治らない歯は抜く必要があるのです。

 寝たきりや認知症になって自分で歯を磨けなくなると、むし歯や歯周病は確実に進みます。セルフケアができない高齢者の 口腔こうくう 管理をどうすべきか。超高齢社会が直面する大きな課題です。

【略歴】
 天野 敦雄(あまの あつお)
 大阪大学歯学部教授。高知市出身。1984年、大阪大学歯学部卒業。ニューヨーク州立大学歯学部博士研究員、大阪大学歯学部付属病院講師などを経て、2000年、同大学教授。15年から今年3月まで歯学部長を務めた。専門は予防歯科学。市民向けの講演や執筆も多く、軽妙な語り口・文体が好評を得ている。

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