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多発性骨髄腫…血液がん 免疫が低下

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 多発性骨髄腫は血液がんの一つで、昨年末には漫才師の宮川花子さんが闘病中であることを公表した。症状が多様なため、診断に時間がかかるケースがある一方、近年は人間ドックで見つかる人も増えている。(佐々木栄)

多発性骨髄腫…血液がん 免疫が低下

  大半は60歳以上

 血液がんは白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫に大別される。多発性骨髄腫は全体の1割程度だが、近年、患者数は増加傾向にある。国立がん研究センターの統計などによると、「MGUS(エムガス)」と呼ばれるタイプを除き、年間約7500人が発症している。患者の大半は60歳以上で、5年生存率は約50%だ。

 骨髄は、血液のもとになる造血幹細胞から、赤血球や血小板、白血球を作り出す。多発性骨髄腫は、白血球の一つである「形質細胞」ががん化し、「骨髄腫細胞」となることで発症する。形質細胞には、細菌やウイルスを撃退する抗体を作る役割があるが、骨髄腫細胞は、「Mタンパク」という抗体を大量に作る。

 骨髄腫細胞やMタンパクが体内を巡ると、様々な悪影響を及ぼす。骨髄が正常に機能しないと貧血になり、 動悸どうき や息切れなどの症状が表れる。Mタンパクが増えると免疫機能が低下し、感染症の原因になる。血液循環を悪化させ、局所的に蓄積すると、腎臓などの機能が低下し、むくみや頭痛、神経障害などを起こす。

 また、骨髄腫細胞が増えると、骨を壊す細胞が増殖し、骨が弱り骨折しやすくなる。血中にカルシウムが溶け出す「高カルシウム血症」になり、口の渇きや腰痛などが出ることもある。骨粗しょう症など別の病気に間違われ、診断の遅れにつながることも少なくない。

  主に3タイプ

 多発性骨髄腫は主に3タイプに分かれる。血液や尿の検査、腰骨に針を刺す骨髄検査、CT(コンピューター断層撮影法)などの画像検査で診断する。

 MGUSは骨髄腫細胞とMタンパクが少量検出される段階だ。自覚症状はなく、定期検査で経過を見る。

 骨髄腫細胞などが一定量まで増えると、「無症候性骨髄腫」となる。ほぼ無症状で、原則として治療はしない。次の段階に進む危険性が高いと判断された場合は薬剤の使用も検討する。

 病気が進行し、貧血や腎障害など典型的な症状が出るようになると、「症候性骨髄腫」と診断される。

 65歳以下で持病がなければ、大量の抗がん剤で骨髄腫細胞をたたいた後、患者本人の造血幹細胞を移植する「自家移植」を検討する。66歳以上か持病がある人には、自家移植はせず、ステロイド剤や分子標的薬から、複数の薬剤を組み合わせる。

 MGUSは10年間で10%、無症候性骨髄腫は65%の患者が、それぞれ症候性骨髄腫に進行する。症候性の場合は完治が難しい。再発を繰り返すごとに、薬剤の変更などで対処する。近年は新しい薬が次々と登場し、治療成績の向上が期待されている。

 京都鞍馬口医療センター(京都市)院長の島崎千尋さんは「症候性骨髄腫に使える薬の種類は増えたが、効果が高い注射薬は頻繁な通院が必要で薬価も高い。薬の組み合わせに迷った時には、『セカンドオピニオン』で別の医師の意見を聞くのもよいだろう」と話す。

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