今井一彰「はじめよう上流医療 あいうべ体操で元気な体」
医療・健康・介護のコラム
口内炎で食べられず、やせてしまった! 呼吸を変えたら…
今回は、口呼吸と口内炎の話です。口呼吸を鼻呼吸に変えていく「あいうべ体操」を指導していると、「口内炎ができなくなった」「口内炎ができてもすぐ治る」という声をよく聞きます。鼻呼吸になると、口内炎ができにくくなったり、早く治ったりするものでしょうか。不思議ですね。
口内は感覚が敏感すぎるために厄介
ところで、口の感覚はとても鋭敏で、その証拠に食事中に髪の毛が口の中に入ってしまってもすぐに分かります。いったん異物を体内に入れてしまっては取り出すことが難しいですから、口の中でしっかりと選別しなければなりません。ところが、食べている最中にそれほど 咀嚼 などを意識していない状態でも、口中のちょっとした異変に気づくことができます。敏感すぎるために、そこに炎症が生じてしまうと、厄介なことを引き起こすことも……。
8歳男児 口が痛くて食べられず
8歳のA君はPFAPA症候群というあまり聞き慣れない病気で受診してきました。このPFAPA症候群は、周期性発熱、アフタ性口内炎、 頸 部リンパ節 腫脹 、咽頭炎の四つを主症状とし、小児に発生するまれな疾患です。原因ははっきりとしませんが、扁桃摘出によって改善する例が多いことが分かっています。ある程度の周期をもって、突然の高熱、リンパ節の腫れなどを引き起こします。
アフタ性口内炎は潰瘍性口内炎とも言われ、中心部は白く、周囲が赤い直径2~10ミリ程度の潰瘍が、頬や唇の内側・舌・歯茎などに発生します。普通は1~2週間ほどで痕を残さずに治りますが、一度に数個発生することもあります。口内炎としてはポピュラーなものです。
A君は、この口内炎で口の中が痛くてごはんが食べられず、少しやせてきたので何とかしたいと来院してきました。おとなしく、診察室に入ってから一言もしゃべらないA君でしたが、その口の中を見て理由がわかりました。歯茎、舌、頬粘膜に大きなアフタ性口内炎が多発していたのです。あまりの痛さに、口を開くこともできませんでした。これでは食事ができず、やせてくるのも仕方がありません。副腎皮質ホルモン剤(ステロイド剤)を服用すれば速やかに熱は下がるのですが、口内炎はすぐに治らないので厄介です。
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