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抗がん剤治療「前向きに」 医療用かつらレンタル10年

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 抗がん剤治療の副作用で髪が抜けた人に、元患者から提供されたかつら(ウィッグ)を貸し出す福岡市・天神のNPO法人「ウィッグリング・ジャパン」が、活動開始から今月で10年となった。レンタル費用は新品を買う場合の20分の1程度で、これまで全国の1000人以上が利用した。上田あい子代表理事(45)は「がん患者が元気を取り戻す手助けをしたい」と話す。(香月大輝)

抗がん剤治療「前向きに」 医療用かつらレンタル10年

活動10年を迎え、「今後も患者に寄り添いたい」と気持ちを新たにする上田さん(左)ら

 2010年7月にボランティア団体として発足。上田さんが幼なじみの女性から「乳がんの治療の副作用で髪が抜けた」と悩みを打ち明けられたのがきっかけだった。悪性リンパ腫の闘病経験を持つ別の友人から医療用のかつらを借りて渡したところ、「治療に前向きになれた」と喜んでくれた。

 「ウィッグのリング(輪)で笑顔や希望をつなげたい」。そう考え、新品を買えば平均30万~40万円ほどする医療用かつらのレンタル活動をしようと決意。患者会などを通じてかつらの提供を呼びかけたところ、がん治療を終えた人らから約150個が集まった。

 治療を終えたら返却してもらう仕組みで、最初は無料で貸し出していたが、配送やクリーニングなどに費用がかかるため、段階的に有料化。今年4月からは1個につき年間1万円(税別)で貸し出し、2個目以降は1000円(同)で3個まで借りられるようにした。電話で希望する髪形や色などを伝え、団体の事務所で月数回開く試着会で試すか、遠方の人には複数を送って選んでもらっている。

 活動は口コミで広がり、年間約100人が利用。所有するかつらは約3000個に増えた。寄せられたかつらには「自分も絶望的だったけれど、必ず元気でおしゃれができる日がきます」「多くの人が元気で笑顔で過ごせることを願っています」といった手紙が添えられているという。

 昨年4月に乳がんと診断され、今年5月までかつらを借りた福岡市早良区の会社社長高木朱理さん(49)は「ウィッグをつけると安心感が生まれ、仕事にも集中できた。治療は続いているが、前向きに過ごせている」と話す。

 かつらのレンタルのほかにも、同法人は11年から久留米大先端 がん 治療研究センターと共同で医療セミナーを毎月開催。今年12月には100回目を迎える。また、かつらをカットできる美容室や、脱毛時の眉毛の描き方といったメイクのアドバイスができる薬局を増やすための勉強会も始めた。

 上田さんは「脱毛による悩みが少なくなれば、治療に集中できる。外見ケアのサポートに加え、患者の居場所づくりも進めたい」と話している。問い合わせは同法人(092・725・6623)へ。

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