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【独自】安楽死「作業はシンプル」…嘱託殺人容疑の医師、SNSで被害女性に

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やり取り 11か月前から

 難病の筋萎縮いしゅく性側索硬化症(ALS)を発症した女性から依頼され、女性を殺害したとして、嘱託殺人容疑で逮捕された元厚生労働省技官の医師大久保愉一よしかず容疑者(42)(仙台市)が、事件の11か月前から女性とSNSでやり取りしていたことがわかった。自殺の方法も提案していたという。詳細なやり取りは第三者に見られないメッセージなどを使っていたとみられ、京都府警が確認を進めている。

 死亡したのは、当時51歳の女性。事件では、京都市中京区の女性宅で昨年11月30日、女性の依頼で薬物を投与し、殺害したとして、大久保容疑者と、医師山本直樹容疑者(43)(東京都港区)が23日に逮捕された。2人は主治医ではなく、SNSを通じて女性と知り合ったとみられる。

 女性は眼球の動きで操作できるパソコンを使い、2018年春から安楽死を希望する思いをツイッターやブログで発信。18年12月28日、ツイッターに「私達、神経難病の患者も壊れていく体と心、来たるべき死の苦しみの恐怖と日々戦っています」と投稿した。

 すると、大久保容疑者が他人の投稿にコメントをつける機能で、「当事者でない外野がかきまわすので、それを封じる手立てが必要」と反応した。これが最初の接触とみられる。

 6日後も、女性の「作業は簡単だろうからカリスマ医者じゃなくてもいいです」との書き込みに、大久保容疑者は「作業はシンプルです。訴追されないならお手伝いしたいのですが」と返信。女性は「うれしくて泣けてきました」と返した。

 やり取りは具体的な自殺方法にも及んだ。事件3か月前の昨年8月25日、女性が「餓死しかないか」「まだ暑いから熱中症で死ねるかな」と書いた際には、大久保容疑者は「強制的に助けられてしまうという悪条件と理解しています。コナンや金田一どころではない計画が必要」と人気漫画を引き合いに出して助言。栄養を減らしたり、室温を上げたりする方法を提案した。

 最後は昨年11月9日。「自筆できない人間はどうやって遺言書をつくったらいいのか」と書いた女性に対し、大久保容疑者は「代筆だとあとでめることも」と返信した。

 捜査関係者によると、女性は、大久保容疑者とともに逮捕された山本容疑者の口座に百数十万円を振り込んでいたという。

 女性のツイッターなどには振り込みや事件の詳しい記述はなく、京都府警は、第三者に見られない「ダイレクトメッセージ」という機能を使ったとみている。

死への願望「聞いたことない」…被害者の父 沈痛

 女性の父親が24日、読売新聞の取材に応じ、「娘のことは思い出すのもつらい」と声を振り絞った。

 父親によると、女性は建築の勉強のために海外に留学したことがあり、2001年には一緒に米国を旅行し、訪れた世界貿易センタービルでキーホルダーを購入したという。女性は働き出してからは東京で一人暮らしをしていたが、ALS発症後に京都に戻り、約3年間一緒に暮らした。死後、遺品整理でキーホルダーが見つかり、肌身離さず身につけている。

 安楽死の願望について「親に死にたいなんて言う娘はいない。一度も聞いたことはなかった」と沈痛な面持ちで語った。

【独自】睡眠薬 胃ろうに投与か

 女性に投与されたのは、海外の自殺ほう助団体で使われる睡眠薬だったことが捜査関係者への取材でわかった。チューブで栄養を胃に直接入れる「胃ろう」から投与したとみられるという。京都府警は入手経路を調べる。

 捜査関係者によると、司法解剖の結果、女性の胃から大量の薬物が検出され、死因は薬物中毒だった。女性は、物をのみ込むことができず、胃ろうをつけていた。府警は胃ろうから薬物を流し込まれたとみている。

 薬物を府警が鑑定したところ、バルビツール酸系睡眠薬と判明。医療関係者らによると、国内では数十年前から不眠症やてんかんなどの治療に使われているが、毒性と依存性が高く、近年、不眠症には別の睡眠薬が使われることが多いという。国内では向精神薬に指定され、市販はされていない。

 一方、難病患者らの自殺ほう助が合法とされるスイスの自殺ほう助団体などが使用しているという。

 府警は24日、大久保、山本両容疑者を嘱託殺人容疑で京都地検に送検した。

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