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町田忍の昭和回想

回想サロン

ゆらゆらと 煙はき出す 豚の口

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 昭和は遠くなりにけり--。銭湯や手描き看板をカメラにおさめ、お菓子のパッケージを収集するなど、庶民の暮らしを見つめてきた町田忍さんが、懐かしいあれこれをイラストにして回想します。みなさんも古いアルバムや本、新聞を引っ張り出し、町田さんのイラストと合わせて、昔を振り返ってみてはいかがでしょうか。
 記事の最後にコメント欄がありますので、よろしければ、あなたの懐かしい思い出を投稿してください。

蚊遣り豚

 今思えば、子供の頃はずいぶんと蚊がたくさんいた。ボーイスカウトのキャンプで刺されすぎて、寝込んでしまった子もいた。家の周りにある水たまりにボウフラがわいていたし、今みたいな虫よけや殺虫剤もないし、網戸だって隙間だらけだった。蚊に刺されたらキンカンを塗るぐらいしかできなかったけれども、これがヒリヒリとしみるんだ……。だから、夜は蚊帳の外に蚊取り線香をたいて、二重の守りで布団に入った。

 蚊取り線香を入れていたのが、夏の風物詩ともいえる豚の形の「蚊り豚」。ルーツには諸説あり、その一つが愛知県常滑市で、豚舎にいる豚のため渦巻き蚊取り線香を土管に入れ、豚の形にして売り出したところ、戦後に全国に広まったというもの。除虫菊の粉を線香に練り込んだ蚊取り線香は最初、棒状だったが、燃え尽きるまでの時間が短く、朝までゆっくりと眠れないことから、創業者の妻が渦巻き形にすることを思いついた。棒状のままだったら、蚊遣り豚も誕生しなかったかもしれない。

 

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machida_shinobu_prof

町田 忍(まちだ・しのぶ)
1950年、東京都出身。庶民文化研究家、エッセイスト。銭湯や缶ジュースなど100を超える研究テーマを持つ。著書に「町田忍の手描き看板百景-美あり珍あり昭和あり-」(東海教育研究所)、「戦後新聞広告図鑑」(同)、「マッカーサーと征露丸」(芸文社)、「銭湯 『浮世の垢』も落とす庶民の社交場」(ミネルヴァ書房)など。

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