認知症×発達障害 岡崎家のトリプルケア
もっと知りたい認知症
「延命措置は不要」で、本当にいいの!? サインする手が震えます…
本人の意思は?
ケアマネさんは、「現時点でのご意向をおたずねするものです。お気持ちが変わったら、いつでも変更できますよ」と言います。が、(仮)の選択だとしても、あまりの重圧にその場から逃げ出したい思いです。
ぐるぐる回る頭の中で記憶を探るうち、祖母(父さんの母親)が亡くなる直前、体中にチューブがつながれている姿を見た父さんが「オレは、こういうのは嫌だな」と言っていた――と、母さんが話していたのを思い出しました。
30年以上前の話(しかも伝聞)ですが、この一件にすがり、「延命措置をせずに施設での看取りを希望」として、サインをしました。20年以上に及ぶ父さんの介護生活で、いろいろな書類にサインをしてきましたが、このときばかりは手がわずかに震えていたように思います。
認知症でも聞いてみよう
「これでよかったのか」という思いが心の中でくすぶり続けていたのでしょう。知人にこの話をすると「そういう重要なことは、認知症であっても、本人にきちんと問うべきだと思う。認知症になったとたんに、周りが本人の意思を置き去りにして、いろいろ決めてしまうのはおかしい」と、ばっさりと切られました。
私は肉親ゆえ、そして「長年、父さんの全てを担って介護してきた」という自負もあって、何事にも「きっと、父さんはこう思うだろう」と決めつけてしまっているところがありました。それって 傲慢 なんじゃないの?と、反省しきりです。
コロナ禍で、これまでの生活や死生観を考え直すような状況もあり、「私だったら……」と、初めて自分の問題としても考えてみる機会になりました。今は結論は出ませんが、新型コロナの問題が収束して面会が許されるようになったら、まずは父さんの希望を聞きたいと思っています。(岡崎杏里 ライター)
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