子どもの健康を考える「子なび」
医療・健康・介護のコラム
成長期のスポーツ(16)体操競技 肘や膝痛めやすく
成長期のスポーツでは、日本スポーツ医学財団理事長の松本秀男さん(66)に聞きます。(聞き手・西原和紀)
体操競技は、ダイナミックな技や洗練された美しい動きが魅力ですが、外傷や障害が多発する競技でもあります。
まず肘の障害が多いのが大きな特徴です。ゆかや跳馬では、手に全体重が加わるため、腕に大きな負荷がかかります。
「離断性骨軟骨炎」は、成長期に起きやすい障害で、肘の関節にある骨同士がぶつかって、骨や軟骨がはがれたり、傷んだりします。野球の投手に起きやすい障害である「野球肘」と似ています。手首の外傷や障害も目立ちます。
鉄棒やつり輪では、肩にかかる負荷が大きく、肩の関節を痛めることが多くなっています。
一方、各種目で最後に着地する動作で痛めやすいのが、膝や足です。
膝は、関節の中にある「前十字 靱帯 」を損傷するケースが目立ちます。空中で体をひねるなどした上で、両足をそろえた強い着地動作で衝撃も大きくなります。足首の捻挫や足の骨折などもしばしばみられます。
成長期のスポーツ障害としては、腰椎の後ろの部分にひびが入る「腰椎分離症」が起きやすくなっています。
美を競うことから、女子は過度なダイエットに走りがちです。鉄の摂取不足などによって、貧血を起こしやすいため、十分に注意してください。
難度が高い技に挑戦したくなりますが、それによって体にかかる負担も大きくなります。まだ成長段階の体だけに、無理は禁物です。
競技の特性をよく理解し、痛みを感じたら早期に対処するように心がけてください。肘の障害は早期発見のため、超音波検査(エコー)で定期的にチェックすることをお勧めします。
【略歴】
松本秀男(まつもと・ひでお)
整形外科医。慶応大卒。慶応大スポーツ医学総合センター教授などを経て、2019年4月から現職。
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