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医師が教える「女と男、髪と地肌の話」 田中洋平

医療・健康・介護のコラム

白髪が増えてきた人への対処法。治療は? ベストな染め方は?

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 白髪について、どんなイメージをお持ちですか。加齢とともに増えてくることが多いので、否定的な印象が多いかもしれませんね。

 私の親戚に白髪を名字にもつ高名な芸術家がおりました。子どものころは憧れの名字である印象が圧倒的に強かった白髪という言葉が、世間ではややマイナスのイメージにとられていると知った時は非常にショックでした。

白髪になるのはなぜか

白髪が増えてきた人への対策法。治療は? ベストな染め方は?

 男性でも女性でも、若いころにはなかった白髪が現れ始めると、わずか数本でも目立ってしまうように感じて、気になってしまうかもしれません。

 髪の毛を黒くしてくれるのはメラニン色素です。この色素を作っているメラニン細胞は、加齢や激しいストレスなどで生成をやめてしまいます。これが、白髪になる主な原因です。

 昔から、白髪の予防には、海藻や黒ゴマなどの黒いものをしっかり食べると良いなどと言われてきましたが、加齢による老化が原因でメラニン生成がストップした状態なので、理論的は、黒髪を復活させるのは厳しいと思います。

 長野県内にお住まいの40代の男性が頭髪の半分近く白髪になっていて、何か良い治療法はないかと相談にいらっしゃいました。

 医療技術が進んだ今日、薄毛の治療はスムーズにできるようになりましたが、残念ながら白髪を黒い毛に戻すのはまだ厳しいです。

 その患者さんは、白髪は伸びるのが速くて、みるみる目立つようになったとのことで、非常に気にしている様子でした。白髪は伸びるのが速いのは確かで、黒い髪よりも4、5倍のスピードになると報告している文献もあります。メラニンを生成しないので、その分、生物学的なエネルギーを節約できるからでしょうね。

 私も30歳を過ぎてからは、過労とストレスで疲弊すると、みるみる白髪が増えることがあります。面白いことにストレスが減るとまた、根元から黒く戻ります。今でも、無理をすると白髪が増え、少し身体を休めるとメラニンの生成が再開されて、新しく生えてきた白髪の根元付近は黒くなっていることがあります。

 ある程度の年齢になったら、気になるからと言って、むやみに抜いてしまうことはお勧めしません。若いころのストレス性の白髪なら、その原因を取り除くことで再び黒く復活する可能性はありますが、加齢による白髪の場合は、再び生えてきたとしても白いままです。何よりも、毛根部分から根こそぎなくなってしまうと、もう生えてこない危険性もあります。

白髪が多かった人は、薄毛治療をしても、再び生えてくる毛髪は

 このコラムでもお伝えしてきたように、薄毛の治療はかなりスムーズにできるようになりました。ただし、白髪が多かった人の場合、治療によって新たに生えてくるのは、黒い髪ではなく、やはり白髪なのです。

 白髪を黒い毛に戻すのは、医療技術が進んでいる今日でもまだ厳しいです。近い将来、若返りの治療がさらに発展して、白髪治療もできるようになるでしょうが、残念ながら、今現在は白髪に関して効果をお約束できる治療はありません。

 では、白髪を気にされる方はどうすれば良いのでしょうか。

 加齢に伴う白髪の場合、決定的な予防法は見当たりません。白髪の増加を遅らせるためには、頭皮のメラニン細胞が元気にメラニンを生成することができるように、バランスの良い食事をとり、十分に身体を休めてください、ということになります。医師としては、これは白髪への対策というよりも、全身の健康のためにも、日ごろから心掛けていただきたいことではありますが。

染め方によって、ダメージは異なるのか?

 一方、女性でも男性でも、白髪を染める方は少なくありません。

 ドラッグストアには、自宅で手軽に染められるカラーリングの製品がたくさん並んでいます。もちろん、髪のプロがいる美容院には、経済的な負担こそ増えますが、カラー、ヘアダイ、ヘアマニキュアなど、たくさんの選択肢があり、確実にきれいに仕上げてくれます。

 それでは、どの方法がベストなのでしょうか。

 以前、長野県内にお住まいの60代の女性が、「白髪を染めるなら、どの方法が良いか」と私のクリニックに相談にいらっしゃいました。それぞれの染色方法による、髪そのものや頭皮への影響を心配され、質問攻めにあいました。確かに、おしゃれや身だしなみのために、頭髪や地肌の健康を犠牲にしてしまうのは本末転倒です。

 私は、推奨される使用法を正しく守れば、大きな問題はないと考えています。

 それぞれの染色方法で、髪や頭皮に対する一時的なダメージはもちろんあるとは思いますが、後遺症を伴うような重篤なものは考えにくいでしょう。染めるためにかかる時間や手間、コスト、カラーの長持ちの度合いなど、それぞれの方法によって微妙に違いがあるはずです。

 美容師さんと相談して、自分にもっとも適した方法を見つけていただければと思います。

 余談になりますが、ドライヤーによる熱のダメージを心配する向きもあるかもしれません。こちらも、最近のドライヤーは、一昔前の乾かすための熱風を出すだけとは違って、髪の毛に対するダメージは軽減するように進化したものが増えたと思います。

 医師として、私がもっと気を付けていただきたいことは、染色による一時的なダメージではありません。日々のストレス、交感神経の過緊張状態と血流低下で頭皮が薄くなってしまうことや毛根へのダメージ、さらに、私の専門である太陽光の近赤外線の 曝露(ばくろ) によるダメージについて、もっとを気に留めていただきたいと考えています。(田中洋平 形成外科医)

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田中 洋平(たなか・ようへい)

 クリニカタナカ 形成外科・アンティエイジングセンター(長野・松本市)院長 新潟薬科大学客員教授、東京女子医科大学非常勤講師。1975年生まれ。

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