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夫と腎臓とわたし~夫婦間腎移植を選んだ二人の物語 もろずみ・はるか

医療・健康・介護のコラム

「難病でも夢を諦めない」 15歳の少女が10万人の心をつかんだ「Nizi Project」

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オーディションの最中に扁桃摘出手術

 誤解のないように説明させてもらうと、同じ病でも、アカリさんと私とでは事情が大きく異なる。IgA腎症は早期発見・早期治療が非常に重要だと先に述べたが、アカリさんは地区予選と東京合宿の合間に、この病の代表的な治療法である「 扁桃(へんとう) 摘出手術」を受けている。人生をかけたオーディションの最中ではあるが、まずは治療を優先させたのだろう。素晴らしい決断だと思うし、実際、予後も良いようで、番組で公開された診断書には「運動制限なし」と記載されていた。それでも、IgA腎症のために幾度となく泣いてきた私は、気が気ではなかった。「術後は不安定な状態。 熾烈(しれつ) な競争でストレスがたまって、病気が再発しないだろうか」

 東京合宿を終え、K-POPの本場である韓国に決戦の場を移してからも、アカリさんの不調は続いた。個人レベルテストで最下位をとってしまい、挽回しようと練習に励むも、腕を肉離れしたことが番組で伝えられた。ところが、最下位になった1か月後のステージで、アカリさんの快進撃が始まる。「不安定だ」と指摘された歌とダンスが明らかに上達し、地区予選で見た明るくパワフルなアカリさんが帰ってきたのだ。気がつけば、最下位から5位まで浮上していた。

 この快進撃は、同じ病を抱える身から見て、奇跡だと思った。腎臓病を抱えていると体が疲れやすく、体が疲れればメンタルもネガティブに傾く。にもかかわらず、アカリさんは息切れするどころか、最終審査でも輝きを増すばかりだった。

脱落…しかし、夢はもうかなっていた!

 さて、結論を言うと、アカリさんは最終審査で脱落した。デビュー組の9人の中に入ることはできなかった。が、彼女の物語はここで終わらない。

 苦難を乗り越え、ひたむきに頑張るアカリさんに、ファンからのエールが殺到したのだ。番組の最終回が放送された日のツイッター上で、「アカリちゃん」が長時間トレンド入りするなど大きな反響を呼んだ。さらに、7月1日に彼女が自身のツイッターを開設すると、半月足らずでフォロワーが10万人を超えた。彼女はオーディション時に、「アイドルになって人を笑顔にしたい」と語っていたが、現実に夢はもうかなっていたのだ。

 「こんな体だけど、やれるだけのことはやってみようと思い、(虹プロに)参加させていただきました」と、アカリさんは振り返り、病が「完治しつつある」ことをファンに報告したという。私の心配は、 杞憂(きゆう) に終わったようだ。

 私は、自分の夢がかなわないことを、長年、病気のせいにしてきた。けれど、それは違った。彼女が、身をもって証明してくれたのだ。(もろずみはるか 医療コラムニスト)

監修 東京女子医科大学病院・石田英樹教授

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もろずみ・はるか

医療コラムニスト
 1980年、福岡県生まれ。広告制作会社を経て2010年に独立。ブックライターとしても活動し、編集協力した書籍に『成約率98%の秘訣』(かんき出版)、『バカ力』(ポプラ社)など。中学1年生の時に慢性腎臓病を発症。18年3月、夫の腎臓を移植する手術を受けた。

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2件 のコメント

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感動をありがとう。。

sam

数週間前、youtubeサーフィンしていた際、「Nizi Project」を何気なく拝見しました。最初は、今時の若い子達はきっとこんな風に煌びや...

数週間前、youtubeサーフィンしていた際、「Nizi Project」を何気なく拝見しました。最初は、今時の若い子達はきっとこんな風に煌びやかな世界に憧れるんだなぁ。。と私の子供達はそうで無かったため、客観的な視点で眺めていました。私自身は音楽やダンスが大好きなので楽しい気持ちで眺めていたんです。・・・と時間が経つにつれて、登場してくる子達の一人一人を応援していることに気がつきました。本当に、一生懸命なんですよね。。こんなに辛い思いをしてまでやらなくちゃいけないことなの?可哀想になって一緒に涙ぐんだりする自分にも驚きましたが、それにも増して彼女達の夢に立ち向かう姿に感動させられました。ありがとう。。

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私もIgA腎症です。

りょう

こちらの記事を涙流しながら読ませていただきました。 現在、腎臓移植をしておりますがIgA腎症が再発しており移植した腎臓も拒絶反応を起こしてしまい...

こちらの記事を涙流しながら読ませていただきました。
現在、腎臓移植をしておりますがIgA腎症が再発しており移植した腎臓も拒絶反応を起こしてしまいとても辛い治療を1ヶ月ほど受けており、副作用に耐えられない日もあります。
虹プロジェクトはチェックしており、あかりちゃんが同じIgA腎症で扁桃腺摘出手術をしていると全く同じだったということもありましたが、一番応援してました。
feel Specialでは何度見ても涙が出てしまいます。
あかりちゃんの頑張りをみて、私ももっと頑張ろうと考えさせられました。

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