夫と腎臓とわたし~夫婦間腎移植を選んだ二人の物語 もろずみ・はるか
医療・健康・介護のコラム
「難病でも夢を諦めない」 15歳の少女が10万人の心をつかんだ「Nizi Project」
幼い頃から「夢を持つこと」を欠かしたことがなかった私。小学生の時はスプリンターや漫画家になりたかったし、中学生以降は音楽プロデューサーになりたいと思っていた。母になる夢だってあった。
がんばっていれば、チャンスは訪れる。私にも一世一代のチャンスが、一度でなく、何度も訪れた。でも、ここぞという時にいつも“あいつ”が邪魔をする。あいつの名は、「IgA腎症(アイジーエーじんしょう)」だ。
「夢がかなわないのは病気のせいだ」と…

IgA腎症は、アジアで最も多いとされる糸球体腎炎だ。10歳代で発症することが多く、私は13歳からこの病と付き合ってきた。治療せず放っておけば、慢性的に糸球体の炎症が続き、腎機能が低下して老廃物の 濾過 ができなくなる指定難病だ。「寛解」を目指すには、早期発見・早期治療が極めて重要なのだが、私は治療のタイミングを逃してしまい、36歳で末期腎不全に至った。
IgA腎症を患う人なら共感してくれるかもしれない。この病を抱えていると、「死ぬ気でがんばること」が怖くなる。むちゃをすれば、マジで死に近づくからだ。腎臓は疲労に弱く、「疲れを感じたときは、無理せず体を休めることが大切ですよ」という医師の指導を守る私は、いつしか「全力疾走」ができない人間になっていた。
コロナの不安渦巻くなか、ひときわ輝いた15歳
そんな私が、コロナ騒動の中、ささやかな楽しみにしていたのが、オーディション番組「Nizi Project(通称:虹プロ)」だ。
知らない方のために簡単に説明すると、虹プロは、K-POPスターの「TWICE」「2PM」らをプロデュースするJYPエンターテインメントと、ソニーミュージックがタッグを組み、世界で活躍できるガールズグループを生み出そうと企画した日韓合同オーディションだ。地域予選は、ハワイ、ロサンゼルス、東京、大阪など全10か所で開催された。応募総数1万人超え、歌もダンスもプロ顔負けの実力者が次々と脱落していく中、ひときわ輝きを放ったのが、15歳の井上アカリさんだった。
オーディションの指揮をとるプロデューサーは、「その場にいっぱい広がる、明るく元気なエネルギーがある」とアカリさんを絶賛。番組の初回放送の“トリ”にアカリさんを登場させたことでも、注目度の高さがうかがえた。
オーディション会場の、人を値踏みするヒリヒリとした空間に、アカリさんが登場すると、会場の空気がふんわり明るく変化したのが視聴者の私にも感じられた。ちょっとしたしぐさがおちゃめで、関係者たちを「うふふ」と笑顔にしてしまうのだ。
彼女もIgA腎症に苦しんでいた
ところが地区予選を終え、セカンドステージとなる「東京合宿」が始まると、アカリさんの様子がなんだかおかしい。表情はこわばり、今にも泣き出しそうだ。涙をグッとこらえるようにダンスを披露したが……なんだか危なっかしいぞ。
ここで、彼女が「重大な病」を抱えていることが番組内で明らかにされた。IgA腎症だった。「またあいつが少女の夢をむしばんでいくのか!」と、私はこの病を、また憎らしく思った。
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感動をありがとう。。
sam
数週間前、youtubeサーフィンしていた際、「Nizi Project」を何気なく拝見しました。最初は、今時の若い子達はきっとこんな風に煌びや...
数週間前、youtubeサーフィンしていた際、「Nizi Project」を何気なく拝見しました。最初は、今時の若い子達はきっとこんな風に煌びやかな世界に憧れるんだなぁ。。と私の子供達はそうで無かったため、客観的な視点で眺めていました。私自身は音楽やダンスが大好きなので楽しい気持ちで眺めていたんです。・・・と時間が経つにつれて、登場してくる子達の一人一人を応援していることに気がつきました。本当に、一生懸命なんですよね。。こんなに辛い思いをしてまでやらなくちゃいけないことなの?可哀想になって一緒に涙ぐんだりする自分にも驚きましたが、それにも増して彼女達の夢に立ち向かう姿に感動させられました。ありがとう。。
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私もIgA腎症です。
りょう
こちらの記事を涙流しながら読ませていただきました。 現在、腎臓移植をしておりますがIgA腎症が再発しており移植した腎臓も拒絶反応を起こしてしまい...
こちらの記事を涙流しながら読ませていただきました。
現在、腎臓移植をしておりますがIgA腎症が再発しており移植した腎臓も拒絶反応を起こしてしまいとても辛い治療を1ヶ月ほど受けており、副作用に耐えられない日もあります。
虹プロジェクトはチェックしており、あかりちゃんが同じIgA腎症で扁桃腺摘出手術をしていると全く同じだったということもありましたが、一番応援してました。
feel Specialでは何度見ても涙が出てしまいます。
あかりちゃんの頑張りをみて、私ももっと頑張ろうと考えさせられました。
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