街で障害のある人と出会ったら~共生社会のマナー
医療・健康・介護のコラム
高齢者の巣ごもりにご注意! 「生活不活発」はコロナ感染の重症化リスクにも
ヨミドクターをご覧のみなさま、サービス介助士インストラクターの冨樫正義です。「街で障害のある人と出会ったら~共生社会のマナー」として、約2年間、連載を続けてまいりました。そして今、新型コロナウイルス感染症の拡大により、「新しい生活様式」が求められていることから、今後は「新しい生活様式でのダイバーシティー(多様性理解)」を主眼とした内容を随時掲載していこうと考えています。引き続きお付き合いの程、よろしくお願いいたします。
感染を恐れて動かなくなると…
さて、今回は「高齢者と感染症」をテーマにお話しします。
新型コロナウイルス感染症では、比較的、軽症者や無症状者が多い一方で、高齢者や基礎疾患のある人が重症化しやすい傾向にあります。これには、「加齢による免疫力の低下や生活習慣病が関係しているのでは」と言われています。高齢者は特に、自身の命を守るためにも、マスクの着用と手洗いの徹底、人が多く集まる場所を避けることなどの感染予防策が必要です。
しかし、感染を恐れて外出を避け、いわゆる「巣ごもりの状況」が長く続くと、高齢者には「生活不活発」による健康への影響が懸念されます。生活不活発とは、動かない状態が続くことにより心身の機能が低下し、ついには「動けなくなる」ことをいいます。身体機能のみならず、認知機能の低下も表れやすくなるのです。
この悪循環の状態は「フレイル(虚弱化)」とも呼ばれます。これは、英語で老衰や虚弱を意味する「Frailty(フレイルティー)」をもとに日本老年医学会が考案した言葉です。詳しく言えば、「加齢とともに心身の活力(たとえば筋力や認知機能等)が低下し、生活機能障害、要介護状態、そして死亡などの危険性が高くなった状態」となります。
高齢者にとってフレイルは、身体の回復力や免疫力の低下にもつながります。そのため、感染症にかかった際に重症化しやすくなると言われています。つまり、感染を恐れるあまり、生活不活発の状態になると、反対に感染に弱くなってしまう心配があるのです。
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