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子宮頸がん予防のHPVワクチン…勧奨休止で接種率低迷

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 子宮 けい がんの原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)感染を防ぐワクチンの定期接種について、国が積極的に勧めるのを休止して7年が過ぎた。接種率が低迷する中、独自に対象者に情報提供する自治体も出てきた。また、より効果の高いワクチンも7月21日に製造販売承認された。(竹井陽平)

  安全性の議論続く

 国内では、新たに年間約1万人が子宮頸がんにかかり、約2800人が死亡している。早期でも子宮摘出を余儀なくされるなど、深刻な影響を及ぼす。

 子宮頸がんの始まりは、性交渉によるHPV感染だ。一部で感染が続き、細胞が異常な形になる前がん病変になる。さらに一部が進行すると、がんになる。

 国内で認められた二つのワクチンは、子宮頸がんを招くHPV感染の約50~70%を防ぐ。感染後や前がん病変の治療効果はない。

 HPVワクチンは2013年4月、定期接種になった。小学6年~高校1年の女性は、全3回、原則無料で受けられる。

 当初、市区町村が、対象者に、手紙で接種を呼びかけていた。これが、「積極的勧奨」だ。

 だが、ほどなくして、痛みや運動障害など接種後の重い症状が大きく注目されるようになった。国は同年6月、専門家の意見も踏まえて、積極的勧奨を休止した。症状を訴える女性たちは、国や製薬会社に損害賠償を求める裁判を起こし、係争中だ。

 安全性を巡る議論は続く。副作用の可能性がある健康被害の報告制度では、HPVワクチンは接種100万回あたり300件超の報告がある。ヒブワクチン(100万回あたり54件)やBCGワクチン(同151件)の数倍だ。

 一方、厚生労働省研究班は、ワクチン接種歴のない若い女性にも、一定の割合で似た症状が起きているとする研究成果を発表した。

  定期接種と知らず

 勧奨休止や裁判などの影響で、接種率は1%を切る。

 「区からお知らせがなく、定期接種から外れたと勘違いしていた」。高校2年の長女(16)がいる都内の女性Aさん(45)は話す。

 その誤解が解けたのは昨年11月。医師の友人から、教えてもらった。Aさんは、子宮頸がん検診で前がん病変が見つかり、経過観察を続けてきた。「娘に、同じ体験をしてほしくないけれど、安全なのか」と迷った。

 区役所から、定期接種の予診票を取り寄せた。そして近くの産婦人科を親子で訪れ、説明を聞いて、接種を決めた。今年5月の3回目は、対象年齢を超えたため、自己負担となり、約1万8000円を支払った。

 定期接種を検討する機会を逃す事態を防ごうと、千葉県いすみ市や岡山県などは、対象者に情報提供を始めた。副作用も含めて伝え、予診票は送らない。積極的勧奨ではない形をとる。

 現在、新たなワクチン「シルガード9」が7月21日に製造販売承認された。予防効果が高く、すでに約80か国が承認している。横浜市大産婦人科教授の宮城悦子さんは「日本は、接種率も低迷し、子宮頸がん対策では後れをとっている。まずは、自治体や医療者が、定期接種の対象者に、ワクチンを打つかどうかの判断材料となる適切な情報を届けることが大切だ」と話している。

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