Dr.イワケンの「感染症のリアル」
医療・健康・介護のコラム
「Go To トラベル」東京除外は当然 制限緩和は感染を抑え込んでこそ
今回は編集部から依頼を受けての番外編。「Go To」についてお話しします。
観光業の賦活策
Go Toキャンペーンは、新型コロナウイルス感染症問題に対抗するための経済政策です。飲食、イベント、買い物など様々な喚起策が盛り込まれていますが、中でももっとも予算を割いているのが、国土交通省が担当する「Go To トラベル」という和製英語がつけられたキャンペーンです。これはインバウンド(訪日外国人客)からの収入が激減した観光業の賦活策として、国内向けの旅行を励行しようというものです。
さて、よくコロナ対策で「経済を回せ」という言い方をしますが、「経済を回す」にはいろいろな意味が含まれているように思います。
「コロナ対策」と言うならば、感染流行のために収入を絶たれ、事業継続や生活に支障がある企業や人々を救済するものであるべきでしょう。
ところが、政策というのは必ずしも額面通り、理念のままに遂行されるとは限りません。
ときに、いま、樋口耕太郎氏の「沖縄から貧困がなくならない本当の理由」(光文社新書)を読んでいますが、とても勉強になります。
本書ではたくさんの問題を論じています。そのなかに、「援助」の問題があります。沖縄といえば「泡盛」ですが、沖縄県への経済援助の一環として、泡盛業界は酒税の優遇措置を受けており、41年間で約410億円もの税金を免除されていたといいます。それはいい。経営に苦しんでいる零細酒造所では、その援助は役に立つから。ところが、この措置で大手のメーカーも利益を受けていました。ある大手酒造所は役員4人に4年間で20億円近くの報酬を支払っていたそうです。この場合の「経済援助」とはいったいなんなのか。
「本当に困っている人」を救済できるか
外国からの観光客が途絶えて、観光業が困っているのは理解します。が、昨年まで、巨大なインバウンド需要で大きな利益を得てきたのも、また観光業です。困っている企業や人々を助けるのは政府の重要な役割ですから、当然支援すべきでしょう。しかし、Go Toが「本当に困っている人」の救済として機能するかは、メディアなどの監視が必要だとぼくは思います。
そもそもインバウンド需要が激減しているのは、新型コロナウイルス感染症パンデミックのためです。パンデミックがなぜ需要を激減させるかといえば、それは旅行そのものが感染拡大のリスクだからです。繰り返します。人の移動、すなわち旅行は感染拡大のリスクなのです。
海外からの人の流入が感染拡大のリスクだからこそ、インバウンドを大量に呼び込めないのです。当然、同じ理屈は国内旅行にだって適用されます。さもなければダブルスタンダードです。
リスクがない地域間の旅行励行は「あり」
もちろん、感染者が全く出ていない、ほとんど出ていない地域内・地域間での旅行は感染リスクにはなりません。病原体と感染者がいなければ、感染症は流行しませんから、絶対に。
ですので、そういう地域であれば、経済活性化のための観光推進、旅行の励行は「あり」だとぼくは思います。地域差を無視して、全国一律で同じ方法を取るのは効率がよくありません。4月の「緊急事態宣言」がそうであったように。
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東京在住者だが、東京除外を問題にはしていない。
ルールを作っているようで、実は原則が定まっていないことに困惑し立腹している。
著者はGoToを是認しているようだが、『居住地の兵庫県で何人発生したら除外するのか』、『東京都が数日にわたって50人程度に低下したら復活させるのか』、『「TDL満喫7日間の旅」に参加して、実は自由時間が半分以上の4日間あり、その間ずっと東京見物と飲食・会食をするのはOKなのか』など多くの論理矛盾を抱えた政策であり、東京都民はそのことに困惑・立腹している。
医師ならもっと医学的観点から論考し発言するべきだ。
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人の流れの停止に伴う、お金とモノの流れの遅滞やそれに伴う悪影響をある程度の範囲に留めて、次の出口への動きを促すのが本来ですよね。
政府や企業の偉い人々も頭をひねっているのでしょうが、元通りではなく、手探りの次の時代に向かったフェーズを踏んだ再生というのが難しいのではないかと思います。
失敗を叩くよりも、次の政策を促す方が大事かもしれません。
個人的には、特急や新幹線や飛行機に空気清浄機でもつけて感染防止できたら流れも変わるとは思います。
富や人口が東京や関東に集中しているので、そこを動かせないと手詰まりになりますが、他の手段を用いてもより多くの人の最低限の生活や教育などが大きく滞らないようにするための資金や制度が大事になります。
焼け太りや不正の取り締まりも大事ですが、それ以上に、必要なところの枯渇が問題と思います。
理由は人口減少と格差拡大が日本の諸問題の根っこにあるからです。
コロナ以外の大災害も含めて、中長期的な施策が必要になります。
国内でも、大きく資産を蓄えている人は旅行に行けるでしょうが、これだけ大きく社会が変わると、先々を考えれば、個々人の家計は渋るのは仕方ないです。
観光立国へシフトしようとしていた近年の日本に逆風なわけですが、今後も様々な政策をやりながら、富や教育の再分配や国家の方策も定まっていくのかもしれませんね。
お金や技術を蓄え込んでも、動かす人のいない国は、動かす機能が崩壊した国は、死んだも同然です。
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