今井一彰「はじめよう上流医療 あいうべ体操で元気な体」
医療・健康・介護のコラム
汚れた空気も慢性上咽頭炎の原因 鼻うがいで汚染物質を除去
5月25日のコラム に、質問や疑問をいくつかいただきました。中でも多かったのが、慢性上咽頭炎として列挙された症状が自分にとても当てはまっていたため、担当医師に「慢性上咽頭炎ではないか?」と相談したけれど、「血液の炎症反応値が正常なので炎症はない」と言われ、戸惑っているというものです。
炎症診断に万能ではないCRP
ここでいう炎症反応とは、血液検査のCRPという項目です。健康診断などでも測定されることがありますから、一度は目にしたことがある人もいるでしょう。これは C-reactive protein の略で、日本語ではC-反応性タンパクといいます。新型コロナウイルスの検査で使われるのはPCRなので、紛らわしいですね。CRPは炎症反応を見るのには簡便で、すぐ測定できるため、とても便利な指標ですが、実は炎症診断において万能ではありません。
CRPは主に細菌感染症で上昇しますが、普通の風邪や胃腸炎などのウイルス感染では基本的に上昇しません。新型コロナウイルス感染症でも、重症例ではCRPの上昇を認めますが、軽症例では上昇しないため、感染や発症の判断材料に使うことができません。また 萎縮 性胃炎や慢性肝炎といった炎と名のつく病気でも上がりません。上部消化管内視鏡検査(いわゆる胃カメラ)をして、胃の症状はないけれど萎縮性胃炎を指摘されたことのある人もいるでしょう。慢性胃炎がある人で、CRPが上昇したら別の病気を探すことになります。
慢性上咽頭炎の重症度との相関なし
以前、慢性上咽頭炎の重症度とCRPの比較をしてみましたが、相関関係は認められませんでした。重症と診断した慢性上咽頭炎であっても、CRPは平均で0.09mg/dlと基準範囲内に収まりました。
ですから、CRPだけで慢性上咽頭炎の有無を判断することはできません。では、慢性上咽頭炎の炎症はどこから来ているのでしょうか。いろんな原因のうち、口呼吸はその一つですが、もう一つ考えられる原因を挙げておきましょう。
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