町田忍の昭和回想
回想サロン
交番で 夫婦げんかも 仲直り
昭和は遠くなりにけり--。銭湯や手描き看板をカメラにおさめ、お菓子のパッケージを収集するなど、庶民の暮らしを見つめてきた町田忍さんが、懐かしいあれこれをイラストにして回想します。みなさんも古いアルバムや本、新聞を引っ張り出し、町田さんのイラストと合わせて、昔を振り返ってみてはいかがでしょうか。 |
交番
交番は、日本が世界に誇る、地域の安全を守る存在である。実を言うと、私はかつて警察官で、1年ほど交番で勤務した(写真)。そのとき勤務したのは戦前に建てられた交番で、エアコンもなかった。執務スペースの奥に、寝るのがやっとの畳の間、流しとトイレ。間口が狭く奥に長いウナギの寝床のようなスペースで、居心地は決してよくなかった。24時間、道案内に落とし物の対応、酔っ払いの保護などに追われ、夫婦げんかの仲裁もした。出前をとったラーメンの麺がのびきってしまうのは毎度のこと。気の毒に思ったのか、近所の食堂がたまに料理を差し入れてくれるのが楽しみだった。今回紹介したのは、戦前に建てられ、その後、「地域安全センター」として余生を送る時代の生き証人のような元交番である。
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