一病息災
闘病記
[タレント 泉♡アキさん]3回の乳がん(2)日記つけ気持ち前向き
手に触れた左胸のシコリはピンポン球ぐらい。1997年、47歳の時に最初の乳がんに気づいた。「乳がんかも」と夫の桂菊丸さんに伝えると、うめくような声を上げ、言葉にならなかった。「がん=死」のイメージ。自身も「私の人生、もう終わっちゃうの」と衝撃を受け、日常はいきなり暗闇に変わった。
検査で2・5センチの乳がんと確定し、手術で左乳房の4分の1を切除した。「ガンばるノート」と名付けた日記をつけ、がんと向き合うことにした。入院中に夫や娘たちの見舞いを受け、患者仲間と接するうち、持ち前の前向きな気持ちが戻ってきた。
「家族が一つになって私を大切にしてくれている。これ以上何を望むの?」
そう考えられるようになると、 憑 きものが落ちたように、気持ちが吹っ切れた。「治療で悪いところを取ったんだからがんは終わり」「再発したらその時はその時」と整理がついた。それから「病気になっても、病人にはならないぞ」と決意した。
テレビの仕事でハワイのマウイマラソンに参加する企画が持ち込まれた。経験はないが、「走りながらクジラが見える」という話に気持ちが高まる。手術から4か月後、夫と2人で走った。8時間39分でゴール。人目をはばからず抱き合って泣いた。完走の喜びに加え、2人で一緒に生きていくという気持ちを確かめられたのがうれしかった。
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タレント 泉♡アキさん(70)
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