文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

Dr.若倉の目の癒やし相談室 若倉雅登

医療・健康・介護のコラム

私の白内障手術者が「乱視用眼内レンズ挿入手術法」で米国学会賞…徳田芳浩医師に聞く

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック
私の白内障手術者が「乱視用眼内レンズ挿入手術法」で米国学会賞…徳田芳浩医師に聞く

徳田芳浩医師

 先日、私の白内障手術をしていただいた徳田芳浩医師が、米国白内障屈折矯正手術学会(ASCRS)から、2020年のフィルムアワード(手術に関係するビデオのコンテスト)で、部門賞の2位を受賞しました。ASCRSは1974年創立で、そこからの40年余り、欧州(ESCRS)や日本(JSCRS、現在、徳田医師が理事長)の学会とともに、世界の白内障と屈折矯正手術の進歩を支えてきた学会です。

  若倉  おめでとうございます。過去にも日本人受賞者がありましたが、今回は久しぶりだそうですね。

  徳田  以前は複数の日本人受賞が毎年のようにありましたが、最近は米国のほかインドからの受賞者が多くなっていました。今回、私はニューテクノロジー部門で受賞し、全体のグランプリも日本人(鈴木久晴医師:水素水を用いる手術かん流液で手術用超音波装置から発生する活性酸素を減らし、より安全性を高めるという研究)でした。

  若倉  先生の受賞内容は。

  徳田  乱視矯正用の眼内レンズ挿入手術に関する新工夫です。乱視矯正は、乱視の軸と乱視矯正用眼内レンズの軸(角度)が一致するように合わせる必要があり、手術後に眼内レンズが回転すれば軸が動いて焦点が合わなくなってしまいます。そこで、レンズの固定に工夫を加えました。 前嚢(ぜんのう) (水晶体の前方の膜)切開の形を少し変えたのです。

  若倉  白内障手術は水晶体の前嚢を円形に切開し、そこから濁った水晶体皮質を超音波で砕いて吸引して眼内レンズを挿入するわけですが、切開を円形にしないのですか。

  徳田  円形なのですが、軸に合わせて2か所に耳状の切り込みを作ります。そこに眼内レンズの足(レンズを固定する支持部)を入れ、レンズ自体(光学部分)が、ちょうど前嚢切開の上にのるようにすると回転が防げます。この方法が評価されました。

  若倉  耳を作るのが難しそうですね。

  徳田  うまく作らないと亀裂が入るので、少し難しいです。そのプログラムを入れた(超高精度の)フェムトセカンドレーザー機器があれば自動化できるかもしれません。

  若倉  白内障手術法はなおも進歩しているのですね。

  徳田  手術法や手術技術の向上にゴールはないと思っています。手術者は職人みたいなものですから、常に考えてよりよい手術になるように心がけています。

  若倉  先生は後輩の手術指導においても定評がありますが、どこに注意していますか。

  徳田  器用な人しかよい手術ができないのは、古い時代の話です。今は超音波など手術機器がよくなっていますから、機器の特性をしっかり把握し、生かしさえすれば、よい手術ができるはずです。一番重点を置いて教えるのは技術ではなくて、そういうところです。

  若倉  白内障手術は、いつしたらよいのかと患者に聞かれますが、先生のお考えを。

徳田:視力の数字で決めるのは正しくありません。視力は見え方の一部しか反映していないからです。生活の中で見えにくい状況があることを実感していて、眼科医がその原因は確かに白内障によると判断した場合に手術を考えればいいのです。命に関わる緊急性のある手術ではないので、よく考えて決めるべきです。

  若倉  ありがとうございました。

 (若倉雅登 井上眼科病院名誉院長)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

【新】DSC06258若倉20191129-120×150

若倉雅登(わかくら まさと)

井上眼科病院(東京・御茶ノ水)名誉院長
1949年、東京生まれ。80年、北里大学大学院博士課程修了。北里大学助教授を経て、2002年、井上眼科病院院長。12年4月から同病院名誉院長。NPO法人目と心の健康相談室副理事長。神経眼科、心療眼科を専門として予約診療をしているほか、講演、著作、相談室や患者会などでのボランティア活動でも活躍中。主な著書に「目の異常、そのとき」(人間と歴史社)、「健康は眼にきけ」「絶望からはじまる患者力」「医者で苦労する人、しない人」(以上、春秋社)、「心療眼科医が教える その目の不調は脳が原因」(集英社新書)など多数。明治期の女性医師を描いた「茅花つばな流しの診療所」「蓮花谷話譚れんげだにわたん」(以上、青志社)などの小説もある。

過去コラムはこちら

心療眼科医・若倉雅登のひとりごと

Dr.若倉の目の癒やし相談室 若倉雅登の一覧を見る

コメントを書く

※コメントは承認制で、リアルタイムでは掲載されません。

※個人情報は書き込まないでください。

必須(20字以内)
必須(20字以内)
必須 (800字以内)

編集方針について

投稿いただいたコメントは、編集スタッフが拝読したうえで掲載させていただきます。リアルタイムでは掲載されません。 掲載したコメントは読売新聞紙面をはじめ、読売新聞社が発行及び、許諾した印刷物、読売新聞オンライン、携帯電話サービスなどに複製・転載する場合があります。

コメントのタイトル・本文は編集スタッフの判断で修正したり、全部、または一部を非掲載とさせていただく場合もあります。

次のようなコメントは非掲載、または削除とさせていただきます。

  • ブログとの関係が認められない場合
  • 特定の個人、組織を誹謗中傷し、名誉を傷つける内容を含む場合
  • 第三者の著作権などを侵害する内容を含む場合
  • 企業や商品の宣伝、販売促進を主な目的とする場合
  • 選挙運動またはこれらに類似する内容を含む場合
  • 特定の団体を宣伝することを主な目的とする場合
  • 事実に反した情報を公開している場合
  • 公序良俗、法令に反した内容の情報を含む場合
  • 個人情報を書き込んだ場合(たとえ匿名であっても関係者が見れば内容を特定できるような、個人情報=氏名・住所・電話番号・職業・メールアドレスなど=を含みます)
  • メールアドレス、他のサイトへリンクがある場合
  • その他、編集スタッフが不適切と判断した場合

編集方針に同意する方のみ投稿ができます。

以上、あらかじめ、ご了承ください。

最新記事