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スマホアプリで早漏治療、効果は? イタリアのパイロット研究

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 スマートフォン(スマホ)やタブレット端末を活用した医療が普及してきた。さまざまな医療系アプリも開発され、治療に対する患者の意欲やコンプライアンスの向上に一役買っている。しかし、性機能障害の治療におけるスマホアプリの有用性についてはほとんど探求されていない。イタリア・Male and Female Sexual Dysfunctions Center of the Regione VenetoのGabriele Optale氏らは、スマホアプリを用いた早漏治療の効果を検証するパイロット研究を実施。結果をSex Med( 2020年6月18日オンライン版 )に報告した。

簡便な指導介入の開発を目指す

 早漏は、毎回またはほぼ毎回、腟内で射精を遅らせることができず、結果として自己否定感など負の感情が生じる状態をいう。頻度が高い性機能障害の1つであり、患者自身のメンタルヘルスだけでなく、パートナーとの関係にも悪影響を及ぼしうる。

 早漏に対しては、力動的精神療法や行動療法、認知療法を組み合わせたさまざまな心理療法的アプローチが試みられる。局所麻酔薬や選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)などの薬物療法と併用される場合もある。しかし、早漏治療薬として唯一認可されているSSRIのdapoxetine(日本未承認)を用いても、治療から脱落する患者が存在する。

 心理療法的アプローチの効果を高めるために、射精を遅らせるスキルの習得や性的自信の強化などを目的とした指導介入(コーチング)が行われることもある。一方で、効果的なコーチング方法の習得には、時間と訓練を要する。技術的ツールを活用すればこうした問題を解決でき、より効果的なコーチングを患者に提供できる可能性がある。

 そこでOptale氏らは、スマホで使用できる早漏改善コーチングアプリを考案。早漏患者に対する有用性を検討した。

アバターを手本にエクササイズに取り組む

 対象は、2015年1月~17年12月に同施設を受診した原発性心因性早漏患者35例(平均年齢34±9.15歳)。併存疾患(糖尿病、心血管疾患、高血圧症など)がなく、パートナーと3カ月以上安定した関係にあり、androidスマホの利用が可能な者を組み入れた。陰茎小帯が短い者や勃起障害、慢性前立腺炎、早漏治療歴のある者は除外した。

 全例が通院による心理療法を15回受けるプログラムを実施。7回目以降は早漏改善のためのホームワークを並行した。ホームワークは、骨盤底筋の強化を目的としたエクササイズと、負の感情から離れるためのメンタルトレーニングで構成される。

 エクササイズは、腹筋または臀部筋の弛緩と収縮を2~3分間で10回繰り返すというもの。メンタルトレーニングでは、セックスにまつわる負の感情を表した文章(「射精をコントロールできない」「彼女を性的に満足させられなければ振られる」「自分には性的魅力がほとんどない」など)を消す作業を行う。これら一連のホームワークを1日3回、3カ月間実行させた。

 ホームワークの形態により、対象を通常療法群(17例)とアプリ群(15例)にランダムに割り付けた。通常療法群は口頭と書面による指示を参考に行うのに対し、アプリ群ではスマホにインストールした早漏改善コーチングアプリを用いて実行する (図) 。ナレーションに加え、アバターがエクササイズの手本を提示。負の感情を表した文章は、画面上で指先を動かすことで消去される仕かけになっている。

図.早漏改善コーチングアプリの画面サンプル

スマホアプリで早漏治療、効果は? イタリアのパイロット研究

(Sex Med 2020年6月18日オンライン版)

A:腹筋の収縮方法、B・C:水面下の砂にインクで/空に飛行機雲で描かれた文章、D:臀部筋の収縮方法

通常療法群に比べ早漏指標スコアが改善

 一連の治療プログラムによる効果は、早漏診断ツール(PEDT)、早漏プロフィール(PEP)を用いて評価した。プログラムを完遂した32例(通常療法群15例、アプリ群17例)のデータを解析した結果、通常療法群に比べアプリ群ではPEDT、PEPの両スコアの有意な改善が認められた。また、プログラム最終回時に早漏と判定されなかった患者(PEDTスコア9未満)の割合は、アプリ群で有意に高かった(通常治療群33.33% vs. アプリ群94.12%、P<0.001)。

 Optale氏らは「研究結果から、スマホのコーチングアプリを利用した早漏改善のためのエクササイズやメンタルトレーニングの指導は実行可能なことが示された。さらに、アプリを用いることで通常の口頭や書面による指導と比べ優れた治療効果が得られた。アプリによる指導は患者が理解しやすく、ホームワークをより確実に実行できた可能性がある」と結論。今後は、同アプリを薬物療法および心理療法と併用した場合の有用性について検討する必要があると述べている。(長谷部弥生)

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