アラサー目前! 自閉症の息子と父の備忘録 梅崎正直
医療・健康・介護のコラム
脱走② 「バス通りの白線上を子どもが歩いてる!」と小学校に電話が…
危険を察知できない怖さ
ラインに沿って歩きたがるという「こだわり」は以前からあって、このコラムでも書いた、「ベランダの手すりを平均台にしていた事件」もそれに近い。魅力的な線を見つけたら、周りが目に入らない。ただ、僕自身の子ども時代を思い出すと、「きょうは、路側帯の白線に沿って行こう」とか、「小石をずっと蹴りながら帰ろう」なんて、自分で決めて歩いていた記憶があるから、何かにこだわる気持ちはどんな子にもあるのではないだろうか。問題は、やはり、危険を自分で感じとれないことだ。
危機一髪だったことは1回や2回ではなかった。だからといって、どこかに閉じ込めておくわけにもいかず……。改めて振り返れば、よくもまあ、無事に育ったものだと思う。
売り場で勝手にアイスを食べ…見守ってくれた店長
一人で外に出ていった場合、人に迷惑をかけてしまうのでは……という心配もあった。今月10日に27歳になった洋介だが、今も、お店で好きなお菓子を見つけたら、会計前にバッグのポケットにしまい込もうとすることが多く、「お金を払って買う」ということは理解していないよう。小学校の頃はさらに、その場で食べてしまう恐れもあった。
ただ、幸いなことに、お店の側も洋介の顔を知っていて、スーパーの店員が相手をしてくれていたりした。コンビニの売り場でアイスを袋から出して食べているのを、店長がずっと見守っていてくれたこともあった。
小学校入学時には、隣村にある養護学校の就学通知を拒んで地元の小学校を希望したが、こうして地域で顔を知ってもらえる関係ができたことだけでも、その選択は洋介にとって「正解」だったのではないかと思う。(梅崎正直 ヨミドクター編集長)
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