腰椎椎間板ヘルニアと診断
会社員の夫(45)は、勤務先で重い荷物を持ったのが悪かったのか、「腰椎椎間板ヘルニア」と診断され、鎮痛薬を飲んでいます。腰痛などが強く、左脚の感覚がなくなってきています。適切な治療法や、日常生活の注意点を教えてください。(45歳女性)
治療鎮痛薬とリハビリから
大鳥精司 千葉大学病院整形外科教授(千葉市)
背骨の一部である腰椎は、大きな五つの椎体から構成されます。この部位にかかる強い衝撃を和らげるのが椎間板と呼ばれる軟骨で、クッションの役割を担っています。
椎間板の外側はバウムクーヘンのような年輪状の構造で、何らかの原因で亀裂ができると、中心部にある軟らかい髄核が飛び出します。髄核が腰椎の神経を圧迫するのが、腰椎椎間板ヘルニアです。腰痛、座骨神経痛、脚の痛み、しびれなどの症状が出ます。
排尿障害や脚が動かないといったケースもあり、この場合は緊急手術が必要です。ただ、ほとんどの場合は鎮痛薬を使い、リハビリテーションを行うなどの保存療法から始めます。体内の免疫の働きで、3か月ほどで自然に症状がなくなることも多いのです。
椎間板ヘルニアを溶かす薬を注射する「椎間板内酵素注入療法」が、2018年から公的医療保険の対象になりました。痛みが強い時や保存療法で治らない場合に使います。効果が高く、将来的に手術に至るケースが減る可能性もあります。
ただ、腰椎椎間板ヘルニアのタイプにより、自然に症状がなくなる割合や、どの治療を選択するかといった方針が変わります。手術をしても再発することもあります。主治医と相談し、最適な治療を選ぶことが重要です。