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殺処分復活も…犬猫の飼い主探し難航、「譲渡会」開催できず

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保護された犬たち(藤沢市のレスキュードアニマルネットワークで)

保護された犬たち(藤沢市のレスキュードアニマルネットワークで)

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、神奈川県動物愛護センター(平塚市)で、保護動物の「譲渡会」が開催できない状況が続いている。昨年度まで犬は7年連続、猫は6年連続で殺処分ゼロを達成してきたが、譲渡会が開けないなかで新たな飼い主探しが難航。協力するボランティア団体も引き受け能力には限界がある。動物の命を守る現場にも、コロナ禍が影を落としている。(白井亨佳、中山知香)

 センターは例年、飼い主不明の動物や迷子のペットなど800匹前後を保護している。動物の数が収容能力を超え、適切な保護ができない場合、殺処分せざるを得なくなる。

 センターでは殺処分を回避するため、新たな飼い主に犬や猫を託す譲渡会と、事前説明やマッチングを行う譲渡前講習会を毎月1回ずつ開催してきた。しかし、新型コロナの影響で2月を最後に開けなくなり、今月も中止が決定。8月以降の見通しも立っていない。

 センターによると、昨年4月~今年1月の譲渡数の月平均は犬が12・6匹、猫32・3匹。しかし感染拡大に伴い、2月は犬2匹、猫4匹、3月も犬10匹、猫14匹と大きく落ち込んだ。

 そんな状況下で、殺処分回避に協力したのが動物愛護のボランティア。譲渡会とは別に、個別に犬や猫を引き受けてくれたり、団体の場合は運営するシェルターなどで複数の動物を預かってくれたりしたという。

 ただ、ボランティア団体も困難な状況は同じだ。横浜市の「アニマルハートレスキュー」は2月末から、団体として続けてきた譲渡会を一時中止。保護動物の餌代など飼育費用がかさみ、山本りつこ代表は「このままではシェルター閉鎖も視野に入れなければならない」と頭を抱える。

 センターから定期的に猫を引き取り、客への譲渡も行ってきた横須賀市の猫カフェ「和猫かふぇ」は6月、約3か月ぶりに営業を再開したが、自粛期間中の経済的打撃が響き、新たな引き取りができる状態ではないという。

 コロナ禍の出口が見えないなか、ペットの放棄が増えるのではと懸念する声もある。藤沢市の動物保護団体「レスキュードアニマルネットワーク」によると、従来は月に2、3件だった引き取り依頼が4、5月には20件ほどに上ったという。河合弘代表は「非常時に人間優先となるのは仕方ないが、預かった命に対して、できる限り責任を果たしてほしい」と話す。

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