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医療・健康・介護のコラム

『明治を生きた男装の女医 高橋瑞物語』 田中ひかる著

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『明治を生きた男装の女医 高橋瑞物語』 田中ひかる著

 1852年(嘉永5年)、三河国鶴ヶ崎村(現愛知県西尾市)に生まれた高橋 (みず) は、10歳で失った父おやの「瑞は利口だから」という言葉を胸に、24歳で学問を志す。辛苦と曲折の末、医師を目指すこととなるが、当時の日本に女性が入れる医学校は存在しなかった――。

 明治政府が創設した医事制度のもと、3人目の「女医」となった瑞の波乱に満ちた人生から、わが国の医療の近代化と女性の社会進出がたどった険しい道のりを描く。著者は「生理用品の社会史」などがある歴史社会学者の田中ひかる氏。膨大な取材と想像力で、100年以上前の人物を生々しく、読者の前に浮き上がらせる。

 ところで、なぜ「男装」だったのか。医学生時代に男子学生から嫌がらせを受け、医師になった後には「女医亡国論」にもさらされてきた瑞は、開業後、男物の羽織とはかま、「二重回し」と呼ばれる和装コートを身に着け、 (くるま) (人力車)で疾駆する姿は「日本橋名物、男装の女医」と呼ばれるようになる。読み終わるまでに、その答えを探すのもいい。

 (中央公論新社 1800円、税別)

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