文字サイズ:
  • 標準
  • 拡大

ニュース

医療・健康・介護のニュース・解説

「殺すぞ」「火つける」病院に中傷電話殺到…応援の手紙や医療物資で危機乗り切る

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック
「殺すぞ」「火つける」病院に中傷電話殺到…応援の手紙や医療物資で危機乗り切る

堀川病院に寄せられた医療従事者への感謝や激励の言葉を伝える手紙(上京区で)

 京都府内で、新型コロナウイルスの感染確認が再び相次いでいる。4~5月にクラスター(感染集団)が発生した堀川病院(上京区)では、適切な医療機関への患者の転院や市民のサポートで危機を乗り切ることができたという。感染拡大の「第2波」への警戒感が高まる中、医療現場からは第1波で浮き彫りとなった課題への対応を求める声が上がっている。(中田智香子)

 堀川病院では、4月10日に入院患者らの陽性が判明。3月末に面会に来た人から感染したとみられ、関連して感染者が出た介護付き有料老人ホームも含めると、5月末までに計44人に広がった。院内感染の中心は、患者の平均年齢が90歳近く、食事や排せつの介助、たんの吸引といった感染リスクの高いケアが多く行われている病棟で、認知症の患者が、感染の判明前に建物内を 徘徊はいかい し、吐しゃするなどしたことからも拡散した可能性があるという。

 入院調整を行う府の「入院医療コントロールセンター」は3月27日に設立されていたものの、当初は転院が進まなかった。室外にウイルスが漏れるのを防ぐ陰圧室などの設備がない中、一時は16人の陽性患者を抱えることになった。

 風評被害にも悩まされた。病院には当初、「殺すぞ」「火をつける」などの中傷電話が殺到。院内のアンケートでは、回答したスタッフの6割近くがハラスメントがあったと回答し、「非常勤で、掛け持ちしていた別の病院で解雇された」「子どもが『コロナ』と言われた」といった声があった。保育園などで子どもの預かりを拒否されたため、離職を選択せざるを得なくなったスタッフも複数人いたといい、現場の人手不足に拍車をかけた。

 状況が徐々に改善に向かい始めたのは、4月中旬以降。山田正明事務長は「陽性の患者を他の病院に引き受けてもらえるようになり、無症状でもPCR検査を受けられるようになったのも大きい」と振り返る。

 また、病院のホームページで院内感染の状況や医療用ガウンの不足といった情報を発信し続けるうちに、応援の手紙や医療物資が多く届くようになり、ピーク時に1日300枚消費していたガウンは、約5万枚が寄せられた。山田事務長は「最終的には中傷と応援は1対9くらい。温かいメッセージに励まされて頑張れた」と感謝する。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • チェック

ニュースの一覧を見る

最新記事