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「一緒に2階に上がっていれば」…九州大雨、土砂崩れが民家飲み込む

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土砂崩れが発生した現場で救助活動をする消防隊員ら(4日午後4時46分、熊本県芦北町田川地区で)=秋月正樹撮影

 夜明け前に降った猛烈な雨で、日本有数の急流・球磨川は一気に増水し、広範囲で氾濫が起きた。熊本県南部では4日、福祉施設や住宅が洪水にのみ込まれ、大雨特別警報が出された地域では、土砂崩れも相次いだ。現地では救助活動が続けられ、家族らは不安な一夜を過ごした。

■とにかく助かって

 熊本県芦北町女島では4日朝、土砂崩れが発生し、民家1棟が倒壊。住人の夫婦と連絡が取れなくなっている。「『ゴー』という大きな音がした。聞いた瞬間、(裏山が)崩れるとわかった」。この家に両親と暮らす三女(40)は、こわばった表情で振り返った。

 現場は八代海近くの、周りを山に囲まれた集落。三女はこの日、屋根をたたく強い雨に不安を感じ、朝早く両親を起こした。2階でテレビを見てすごし、両親は1階にいたところ、土砂崩れが起き、1階部分を埋めた。

 家の中で父母の名前を呼んだが、返事はなかった。三女は消防団員らに助け出されたが、両親は見つかっておらず、同日夜も捜索が続いた。「一緒に2階に上がっていればよかった。何とか生きていてほしい」と涙ぐんだ。

 芦北町では田川地区でも土砂崩れが発生。民家を巻き込み、3人と連絡が取れなくなった。現場に駆けつけた熊本県菊陽町の男性会社員(39)は、「家の中には母と兄、祖母がいる。とにかく助かってほしい」と声を絞り出した。

■日本三大急流の一つ

 球磨川は、九州山地を源流とする全長約115キロの1級河川で、人吉市や球磨村、八代市を経て八代海に注いでいる。「日本三大急流」の一つとされ、たびたび氾濫を起こしてきた。

 4日は、球磨川の上流でも大きな被害が出た。熊本県人吉市では、市街地を流れる球磨川が氾濫し、広範囲で道路が冠水。同市紺屋町の自営業男性(70)は4日未明、市からの避難情報を受け、妻と車で10分ほど離れた親戚の家に避難した。自宅は球磨川近くにあり、「2階まで浸水しているだろう。元通り住めるようになるまで、どれくらい時間がかかるかわからない」と肩を落とした。

■はだしで避難の人も

 熊本県八代市の会地あいち公園では、自衛隊のヘリコプターが次々に着陸。救出された住民らは、消防隊員に抱きかかえられ、病院などに搬送された。住民の中には、ストレッチャーで運ばれる人や、はだしの人もいた。公園に敷かれたブルーシートに疲れ切った様子で横たわる姿もみられた。

 現地では、警察や消防、自衛隊などが救助にあたっている。ただ道路が寸断されているうえ、川幅が急に狭くなる球磨村などは山間部にあたるため、被害の全容はつかめていない。

 同村の廃校になった小学校を活用した施設・田舎の体験交流館「さんがうら」には約10人が身を寄せている。施設長の小川聡さん(45)によると、自宅が浸水した人などが避難しており、避難者のほとんどが高齢者という。

 施設は停電し、電話もつながらない。2階に6部屋ある宿泊スペースは使わず、全員が1階の50畳ほどの広間に身を寄せている。小川さんは「日没を迎えると暗闇に包まれる。豆電球で照らしながら、一夜を過ごすしかない」と不安そうに話した。

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