山崎まゆみの「心もとろける癒やしの温泉」
健康・ダイエット・エクササイズ
贅沢な貸し切り風呂と露天風呂で、大自然をひとり占め
初めて訪ねた日は土砂降りでした。夕方になり、日が落ちる前に、すっと雨があがり、空一面に霧がかかったかと思ったら、合間から光が差しこみ、眼下にある街を照らし出したのです。
これが神話の情景、「天孫降臨」か――。
霧がひくと、今度は噴煙をあげる雄々しい桜島が現れました。なんというコントラストでしょうか。
もう10年以上も前に見た光景ですが、昨日のことのように鮮明に覚えています。
これが鹿児島県・霧島温泉旅行人山荘との出会い。
ちょうど梅雨が明ける頃でした。またあの景色を見ることができるのなら、同じ時期に行きたい。
社長の手作り岩風呂で大自然の景観を
前回は3密を避けられる、「秘湯にポツンとある一軒宿」をご紹介しました。
今回の旅行人山荘は秘湯ではありませんが、5万坪という広大な敷地に、宿泊棟と自然の中に野天湯風の貸し切り風呂が点在しています。
冒頭の風景は客室からも、食事処 からも、旅館にいれば至るところから眺められます。
貸し切りの露天風呂へは、宿泊棟から敷地内の散策を楽しみながら行きます。
人気の「赤松の湯」は、霧島温泉で初の貸し切り露天風呂で、何度も観光ポスターに使われたほど、地元では有名なお風呂です。
実は名物会長の蔵前壮一さんが、自ら石を積み上げた手作りの岩風呂で、芸術的と言っていいほどの出来上がり。なにしろ、午前中に行くと湯船に木漏れ日が差し、時折、鹿も現れるのですが、こうした景観も全て蔵前さんの計算通りなんです。
さらに、「鹿の湯」もやはり蔵前さんの手作り貸し切り露天風呂。こちらは足腰が弱った高齢者にも使いやくなっており、浴場専用の車いすシャワー用キャリーも設置してあります。
川沿いの露天風呂、そして飛騨牛のおもてなし
贅沢な露天風呂がある旅館をもう1か所。
南の鹿児島から、日本のほぼ中央に位置する岐阜県へ。北アルプスの懐に抱かれた平湯温泉、福地温泉、新平湯温泉、栃尾温泉、新穂高温泉という五つの秘湯が存在する奥飛騨温泉郷です。
北アルプスの山々を眺めながら湯につかれる絶景露天風呂がたくさんあり、奥飛騨温泉郷は「露天風呂天国」で知られます。温泉好きなら、一度は行きたい場所です。
なかでも新穂高温泉・槍見館の露天風呂が好きです。川沿いになんと七つもの露天風呂があり、どれに入るか迷ってしまいます。槍見館の客室数は15室なので、これだけの数の露天風呂があれば、貸し切り状態になることも。大きな露天風呂ですから、湯船に他の人がいても、十分にソーシャルディスタンスが保てます。
湯にのぼせても、お湯から上がると、川風が心地よくほてりを冷ましてくれます。
槍見館は築200年の風情ある庄屋屋敷です。ロビー奥には、太い 梁 と立派な柱の囲炉裏もあります。館内に入ると、囲炉裏で 朴葉味噌 や飛騨牛を焼いたりする香ばしい匂いが漂ってきます。
飛騨地方の名物の漬物ステーキは、鉄板の上に白菜やたくあんなどの漬物が置かれ、卵の黄身と味噌が添えてあり、混ぜ合わせながら焼きます。もともと塩辛い味ですが、焼いていくうちにさらに塩気が増して、これがまた日本酒に合うのです。
ちなみに槍見館は、前回紹介した「日本秘湯を守る会」に所属しています。
霧島温泉 旅行人山荘
【 所在地 】〒899-6603 鹿児島県霧島市牧園町高千穂3865
【 電 話 】0995-78-2831
【 泉 質 】単純硫黄温泉
【 効 能 】神経炎、筋肉痛、関節痛、五十肩、うちみ、くじき、冷え性、疲労回復など
【アクセス】JR霧島神宮駅から路線バスで丸尾バス停下車(電話連絡で送迎あり)
【ホームページ】https://ryokojin.com/
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