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「教えて!ドクター」の健康子育て塾

医療・健康・介護のコラム

うちの子、大丈夫?…ママが悩む包茎 「炎症繰り返す」「尿がまっすぐ飛ばない」などは治療を

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緊急処置が必要な「嵌頓包茎」

 では、どのような場合に治療が必要となるのでしょうか。

 まず、陰部の衛生管理をしても、亀頭包皮炎などの感染症を繰り返す場合です。亀頭包皮炎は包皮の内側の感染症で、先が赤くなったりかゆみや痛みを伴ったりします。乳幼児に起こることが多く、抗菌薬やステロイド軟膏などで治療します。多くは、不潔な手で性器をいじることで菌が侵入して起きるため、予防するには、トイレに入った後や外で遊んだ後に手をしっかり洗うことが大切です。最近、新型コロナウイルスの感染症対策で注目されている手指衛生は、このような陰部からの感染症を予防することにもつながるのですね。

 また、排尿障害がある場合も、治療の対象となります。例えば、包皮の締め付けが強く、おしっこが細くて勢いが弱い、おしっこがまっすぐ飛ばず、横に飛んで便器を汚すなどの症状がある場合です。また、 嵌頓(かんとん) 包茎の場合も治療対象です。嵌頓包茎とは、包皮の締め付けが強いのに自分で無理にむこうとした結果、陰茎本体が包皮で締め付けられ、亀頭の血流が悪くなってしまった状態です。本人のみならず、包茎を気にした親が無理に包皮をむいたまま放置したために起きることもあり、病院での緊急処置が必要になります。

自己流は危険 医師に相談を

 もし、治療が必要だと判断された場合、どのような治療が行われるのでしょうか。

 最近では、局所にステロイド軟膏を塗る方法が一般的です。この治療は、多くの研究で有効性が高く安全であることが示され、小児の包茎に対して最初に選択する治療とされています。 6)

 ただし、注意点があります。自己流で行うと、包皮を傷つけたり、痛みが増したりするリスクがあることです。痛みが増すと本人も恐怖感を持ちますし、出血などがあれば、逆に病的な包茎の原因にもなりかねません。必ず医師の指導の下で行う必要があります。

 保存的な治療で効果がない場合には、手術を行います。手術の有効性は高いのですが、感染症や出血などの合併症リスクがあります。基本的に、病的でない包茎には実施しないことが多く、手術をするケースは限られます。

 「治療が必要なら早くしてあげたい」という親心も十分に理解できます。そうした形には、「生理的なものだから焦る必要はない」と、お伝えしたいと思います。その一方、最近は、ステロイド軟膏の治療を以前よりも積極的に行う傾向があります。悩むのは自然なことなので、気になるときは、遠慮なく病院でご相談ください。専門は、小児泌尿器科医や小児外科医ですが、まずはお近くの小児科医にお尋ねいただいてもよいかと思います。(坂本昌彦 小児科医)

参考文献:
  1. To T,Agha M,Dick PT,Feldman W.Cohort study on circumcision of newborn boys and subsequent risk of urinary-tract infection.Lancet.1998;352(9143):1813‐1816.
  2. TASK FORCE ON CIRCUMCISION Pediatrics September 2012,130(3)e756-e785
  3. 後藤隆文、中原康雄、片山修一ほか.乳幼児の真性包茎、どんなときに手術は必要か.小児外科47(10),1067-1070,2015。
  4. 池田均.包茎・亀頭包皮炎.小児科臨床71 supl,1937-1940,2018
  5. Kayaba H,Tamura H,Kitajima S,et al:Analysis of shape and retractability of the prepuce in 603 Japanese boys.J Urol 156:1813-1815,1996
  6. Moreno G,Corbalán J,Peñaloza B,Pantoja T.Topical corticosteroids for treating phimosis in boys.Cochrane Database of Systematic Reviews 2014,Issue 9.Art.No.:CD008973.

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坂本昌彦(さかもと・まさひこ)

 佐久総合病院佐久医療センター・小児科医長
 2004年名古屋大学医学部卒。愛知県や福島県で勤務した後、12年、タイ・マヒドン大学で熱帯医学研修。13年、ネパールの病院で小児科医として勤務。14年より現職。専門は小児救急、国際保健(渡航医学)。日本小児科学会、日本小児救急医学会、日本国際保健医療学会、日本国際小児保健学会に所属。日本小児科学会では小児救急委員、健やか親子21委員。小児科学会専門医、熱帯医学ディプロマ。現在は、保護者の啓発と救急外来の負担軽減を目的とした「教えて!ドクター」プロジェクトの責任者を務めている(同プロジェクトは18年度、キッズデザイン協議会会長賞、グッドデザイン賞を受賞)。

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