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がん患者団体のリレー活動報告

医療・健康・介護のコラム

NPO法人スマイルリボン

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 血液がんや神経難病を引き起こすことがある「HTLV-1(Human T-cell leukemia virus type 1:ヒトT細胞白血病ウイルス1型)」というウイルスの感染者は、国内に82万人ほどいると推計され、先進国の中で突出して多いのが現状です。「NPO法人スマイルリボン」は、このウイルスを撲滅することを目標として活動しています。HTLV-1感染症で苦しむ人たちに、一刻でも早く、治療薬や発症予防薬を届けられるよう、国や研究者らに働きかけています。

NPO法人スマイルリボン

鹿児島市内で開催された「世界HTLVデー」の記念イベント。中央が、スマイルリボン理事長の菅付加代子さん(2019年11月10日)

血液がんや神経難病を引き起こす「HTLV-1」

 HTLV-1は、血液中の白血球の一種であるリンパ球のうちのT細胞(Tリンパ球)に感染するウイルスです。感染者のうち約5%の割合で、血液がんである「成人T細胞白血病(ATL)」を、約0.3%の割合で、徐々に歩行が困難になる神経難病「HTLV-1関連脊髄症(HAM)」を、それぞれ発症します。また、「HTLV-1関連ぶどう膜炎」という目の病気を発症することもあります。

 主な感染ルートは母乳を介した母子感染と性交渉による感染ですが、母子感染は授乳しないことなどにより大幅に感染リスクを抑えることができます。

 感染者や患者はかつて、九州・沖縄地方に集中し、「風土病」扱いされていましたが、全国に広がっていることが分かってきました。それなのに、ウイルス感染症としての研究や治療について、九州地域の医師たちが中心となって行ってきている現状がありました。

国にHTLV感染対策の推進を求める活動

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ATL患者友の会「ミラクル」の発足記念医療講演会(2015年8月、東京都内で)

 ATLは急性化型だと命に関わる重篤な白血病であり、患者会を作ることは困難でした。そこで2003年、HAM患者である菅付加代子さんが中心となって全国HAM患者友の会「アトムの会」を設立しました。風土病というイメージを 払拭(ふっしょく) し、国に総合対策を策定・実施するように求めることなどが、会設立の目的です。

 2005年には、アトムの会を中心としてNPO法人「日本からHTLVウイルスをなくす会」(後に「スマイルリボン」と変更)を設立して活動を広げました。難病患者団体が血液がんである「ATL」への対策を国に求めることは、周囲からは奇異に映ったかもしれません。私たちは、HAMやATLという枠を超えて、国にHTLV感染対策全体を推進してほしいとの願いを持っているのです。

国は特命チームを発足、母子感染予防対策を実施

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菅直人首相(当時、左端)と面談した菅付加代子さん(右から2人目)(2010年9月、首相官邸で)

 活動を地道に続けてきた結果、大きな進展がありました。政府は2010年、首相官邸に「HTLV-1特命チーム」を発足しました。私たちは菅直人首相(当時)と面談し、意見を述べました。それらを受けて、感染予防対策、相談支援や医療の体制整備、病気の啓発、感染者・患者への情報提供、治療法などの研究開発の推進を骨子とする念願の「HTLV-1総合対策」がまとめられました。

 翌年、全国一律の母子感染予防対策が実施されました。2014年にはHAMが国の「指定難病」に認定されました。具体的な施策を実施するために設置された「HTLV-1対策推進協議会」に、私たちは患者代表として参加し、様々な提言を行ってきました。

 世界でも「HTLV-1」への関心が高まってきました。2018年、「世界HTLVデー」を11月10日に定めることが決まり、様々なイベントが開催されました。

 HTLV-1を撲滅するためにどうしたらよいか、試行錯誤しながら活動を続けてきました。厚生労働省や国会に何度も足を運びました。当事者の声を国に届けて要望することが重要だと考えたからです。

 同時に、患者や感染者の声を聞き、集約して情報を共有する一般的な患者会としての役割についても、今後も続けていきたいと思っています。

NPO法人スマイルリボン

 2005年、NPO法人「日本からHTLVウイルスをなくす会」が設立され、12年4月にHAM患者友の会・ATL患者友の会「ミラクル」・キャリアママの会「カランコエ」を統合して、会の名称を「スマイルリボン」と変更した。

具体的な活動としては、医療講演会やシンポジウムの開催、啓発のためのポスターやチラシの作成、患者会全国大会や交流会の実施、患者やキャリアの実態調査、医療冊子の発行、電話・メール相談、情報誌の発行と送付作業などを行っている。国に対しては「HTLV-1総合対策」の充実を求める陳情を継続している。

 ホームページ スマイルリボン https://www.smile-ribbon.org/

        HTLV-1情報サービス http://htlv1joho.org/ 

 このコーナーでは、公益法人 正力厚生会が助成してきたがん患者団体の活動を、リレー形式でお伝えします。

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公益財団法人 正力厚生会

【助成団体募集】10月2日まで来年度の助成申請を受け付け中です。

 正力厚生会は1943年(昭和18)に設立され、2009年に公益財団法人となりました。「がん医療フォーラム」の開催など、2006年度からは「がん患者とその家族への支援」に重点を置いた事業を続けています。
 現在は、医療機関への助成と、いずれも公募によるがん患者団体への助成(最大50万円)、読売日本交響楽団弦楽四重奏の病院コンサート(ハートフルコンサート)を、事業の3本柱としています。
 これからも、より質の高いがん患者支援事業を目指していきます。
 〒100-8055 東京都千代田区大手町1-7-1 読売新聞ビル29階
 (電話)03・3216・7122   (ファクス)03・3216・8676
  https://shourikikouseikai.or.jp/

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