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医療・健康・介護のコラム

「健口」で健康(16)感染予防徹底 受診控えず

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  このシリーズでは、予防歯科学が専門の大阪大歯学部教授、天野敦雄さんに聞きます。(聞き手・佐々木栄)

「健口」で健康(16)感染予防徹底 受診控えず

 新型コロナウイルスへの感染が怖くて歯科受診を控えている、という声を聞きます。米国で3月、「歯科医療従事者は新型コロナウイルスに感染するリスクが高そうだ」などと報道され、私たちも当初は懸念しました。

 政府の緊急事態宣言を受け、日本歯科医師会は4月13日、緊急性がない場合は、歯科受診の延期を検討するよう協力をお願いしました。ただし、同歯科医師会によると、歯科診療を通じて、患者さんや歯科医師が感染した事例は、これまで確認されていないとのことです。

 今回の感染拡大が起きる前から、肝炎ウイルスの感染予防を念頭に置き、歯科医師や歯科衛生士は院内で常に手袋やマスク、ゴーグル、フェースシールドを着用し、器具は消毒や滅菌を徹底しています。日頃の取り組みが、新型コロナウイルスの感染予防にも役立っているのかもしれません。

 セルフケアだけで「健口」を保てる人は問題ないのですが、歯科医師によるケアが必要な人は受診していただく方がいいでしょう。

 歯周病の治療後も再発の危険性が高いと診断されたT郎さん(50歳代)は月に1回、大学病院に通っていましたが、感染を心配して受診の間隔が空きました。

 5月末、歯をかみ合わせると痛みを感じるようになり、3か月ぶりに慌てて受診すると、歯周病が急速に進み歯の根元がぐらついていました。「抜歯しかない」との診断を受け、悲しい思いをしました。

 むし歯や歯周病の進行は、全身状態に悪影響を及ぼします。高齢者は、 口腔こうくう 内の衛生状態が低下することで 誤嚥ごえん 性肺炎を発症することも懸念されます。「健口」は命を支えています。安心して歯科を受診していただければと思います。

【略歴】
 天野 敦雄(あまの あつお)
 大阪大学歯学部教授。高知市出身。1984年、大阪大学歯学部卒業。ニューヨーク州立大学歯学部博士研究員、大阪大学歯学部付属病院講師などを経て、2000年、同大学教授。15年から今年3月まで歯学部長を務めた。専門は予防歯科学。市民向けの講演や執筆も多く、軽妙な語り口・文体が好評を得ている。

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