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Dr.三島の「眠ってトクする最新科学」

医療・健康・介護のコラム

普段は寝起きが悪いのに、遠足の朝はパッチリ目が覚めるのはなぜ?

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 こんにちは。精神科医で睡眠専門医の三島和夫です。睡眠と健康に関する皆さんからのご質問に、科学的見地からビシバシお答えします。

 「普段、寝起きが悪い子どもでも、遠足の朝はパッチリと目が覚める」とか、「早起きするぞと心に決めて寝たら、不思議とその時刻に自然に目が覚めた」などの経験をしたことがあると思います。どうやら私たちの体には、朝の目覚めを助けるアラーム機構があるようなのです。

気合では動かない体内時計

 体内のアラーム機構というと、このコラムで何度も紹介している「体内時計」を思い出す人がいると思います。でも、今回ご紹介するのは、体内時計とは異なるとてもユニークな生体システムです。

 確かに体内時計は、私たちの夜の寝つきや朝の目覚めに深く関係しています。体内時計は、睡眠を支え、覚醒を促す体温や血圧、ホルモン分泌、代謝など数多くの生体機能を調節しています。例えば、私たちが普段目覚める時刻の数時間前になると、覚醒作用のある副腎皮質ホルモン(糖質コルチコイド)の分泌が高まります。それまで下降していた体温(脳の温度)や血圧も一転して上昇し始め、脳がホットな状態で起床時刻を迎えられるように準備が整えられます。

 糖質コルチコイドや体温、血圧など、多くの生体機能が活動するタイミングを決定しているのが体内時計です。ただし、体内時計が決められるのは「〇時頃に△の活動を始める」などといった24時間刻みの時刻表で、いわば腕時計のような役割をしています。例えば、脳の温度は、早朝からゆっくりと上昇を続け、ピークは夕方過ぎ。その後、就寝前から下降を続け、早朝に底(ボトム)を迎えます。日ごとにこの時刻表が大きく変化することはありません。ましてや「明日は早起きするぞー!」などという“気合”で時刻表を動かすことはできないと考えられてきました。

体内にも“ストップウォッチ”が

 ところが、私たちの体内には、24時間より短い時間を測定できる、つまりストップウォッチのような別の時計機能があるようなのです。例えば、ボクサーやアナウンサーなどは、トレーニングを積むことで、時計がなくても「3分」を数秒の誤差でカウントすることができます。皆さんの中にも、ストップウォッチを使って「10秒当て遊び」をした方がおられると思います。何回も続けることで誤差は小さくなりますよね。

 このような1秒未満(ミリセカンド)の短時間から、数分程度の時間の長さまでをカウントするシステムは「インターバルタイマー機能」とか、「時間認知機能」などと呼ばれます。さまざまな研究から、大脳基底核、小脳、前頭前野などの脳部位が時間の推定に関わっていることが明らかになっています。

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三島和夫(みしま・かずお)

秋田大学大学院医学系研究科精神科学講座 教授

 1987年、秋田大学医学部卒業。同大助教授、米国バージニア大学時間生物学研究センター研究員、スタンフォード大学睡眠研究センター客員准教授、国立精神・神経医療研究センター睡眠・覚醒障害研究部部長を経て、2018年より現職。日本睡眠学会理事、日本時間生物学会理事。著書に『不眠症治療のパラダイムシフト』(編著、医薬ジャーナル社)、『やってはいけない眠り方』(青春新書プレイブックス)、『8時間睡眠のウソ。日本人の眠り、8つの新常識』(共著、日経BP社)などがある。

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