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リングドクター・富家孝の「死を想え」

医療・健康・介護のコラム

新型コロナで忘れられた「多死社会」の現実……毎日3500人以上が死亡、どう向き合えばいいのか?

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新型コロナで忘れられた「多死社会」の現実……毎日3500人以上が死亡、どう向き合えばいいのか?

 新型コロナウイルスのパンデミックが起こってから、早くも半年。世界を見ると、いまだに収束する兆しはありません。ただ、日本は小康状態という判断のようです。ただし、今日まで、新型コロナの大報道が続いたため、忘れられてしまったことがあります。それは、日本がすでに「多死社会」になっていて、平均すれば毎日、3500人以上が亡くなっていることです。

 高齢者の人口が増えて、その結果として死亡者数が増えていく。多死社会というのは、高齢化社会の最終的な到達点です。一方で出生数は減っていますから、日本の人口減は進みます。

2040年に向け、看取りをどうする?

 昨年の死亡者数は約138万人で、出生児数は約86万人ですから、差し引き約50万人も減っています。ちなみに私は人口の最大のボリュームゾーン「団塊の世代」の一人で、1947年生まれです。この年の出生児数は268万人と昨年の3倍です。私たちの世代は70歳を過ぎているので、これから先、死亡者数は増えていきます。日本の死亡者数のピークは2040年で、年間160万人以上が亡くなると推計されています。「2040年問題」とも言われ、このように多死社会はしばらく続きます。

 このなかで現在、医療現場が直面しているのが、「終末期医療」をどうするか、そして、どう「 看取(みと) り」をするかということです。病院のベッド数が間に合わなくなる懸念があり、費用面でも入院は割高なこと、さらに当事者の希望も踏まえ、厚生労働省の方針で、「病院から在宅へ」の転換が進んでいます。しかし、まだ十分に機能しているとは言い難いのです。新型コロナで「医療崩壊」が心配されましたが、新型コロナがなくとも日本の医療現場は、今までのやり方で対応するのは難しくなってきています。

新型コロナの死亡者は公表数よりも多い

 新型コロナの死亡者数は1000人に及ばないぐらいですから、平均すれば毎日の死亡者は数人ほどにすぎません。東京都が発表した4月のコロナ死亡者数は104人です。新型コロナを死因としてカウントする基準は世界でも日本国内でもバラバラなので、数字にどの程度の信ぴょう性があるかはわかりません。

 4月の東京都の全死亡者数は1万107人。これを過去4年間の平均死者数9052人と比べてみると、この数字よりも多い「超過死亡」分は11.7%なので、コロナ死亡者はもっと多い可能性があります。超過死亡は、大阪府、愛知県、福岡県などでも10%以上増加しており、新型コロナに関連する死亡者の実態は、公表されているより全国レベルでも多い可能性があります。となると、「多死社会」は、新型コロナによって一層加速しているということになります。

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富家 孝(ふけ・たかし)
医師、ジャーナリスト。医師の紹介などを手がける「ラ・クイリマ」代表取締役。1947年、大阪府生まれ。東京慈恵会医大卒。新日本プロレス・リングドクター、医療コンサルタントを務める。著書は「『死に方』格差社会」など65冊以上。「医者に嫌われる医者」を自認し、患者目線で医療に関する問題をわかりやすく指摘し続けている。

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1件 のコメント

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多死社会での高度医療と看取りの併存

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

地域医療の崩壊の対策が別の連載でもテーマになっていますが、ことの本質は似ています。 日本における新型コロナの感染者および関連死は日本の対策のやり...

地域医療の崩壊の対策が別の連載でもテーマになっていますが、ことの本質は似ています。
日本における新型コロナの感染者および関連死は日本の対策のやり方などの諸事情から考えてももっと多いと思われますが、それよりも新型コロナをきっかけにして、医療体制が既にひっ迫していたことがより明らかになったと言えるでしょう。
ヨミドクの連載を見ても、ずっと前から言われていることがなかなか解決されていません。
それだけ、社会や医療の変化に、医療制度や国民の意識がついていけていくのは難しいです。

その中で、看取りも含めて一定以上の診断や治療の質の放棄も一つの選択肢になると思います。
医療人一人育てるのも大変なら、医療社会の構造ごとの変化はもっと難しいものです。
そして、新型コロナ対策の併存によって、動線もコストもより複雑になる中で、田舎で診断も治療も最先端は理論上無理です。

昔の病気は祈祷師とかの仕事でしたが、科学が採算を求める以上、採算の不可能な地域や状況で、求められてもいない不要な検査や治療を減らして看取りに振り分けていくのはある程度仕方ないのかもしれません。
勿論、遠隔診断や治療へのアクセス方法などある程度均質に近づけられる部分に関しては議論の余地があります。

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