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リングドクター・富家孝の「死を想え」

医療・健康・介護のコラム

新型コロナで忘れられた「多死社会」の現実……毎日3500人以上が死亡、どう向き合えばいいのか?

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新型コロナ死1000人、がん死37万人

 ご承知のように、日本人の死亡原因の1位はがん(悪性新生物)です。2位が心疾患、3位が老衰、4位が脳血管疾患、5位が肺炎です。これを、死者数で見ていくと、次のようになります。

1位 がん 37万3584人 (1日あたり1024人)?
2位 心疾患 20万8221人 (1日あたり570人?)
3位 老衰 10万9605人 (1日あたり300人)?
4位 脳血管疾患 10万8186人(1日あたり296人?)
5位 肺炎 9万4661人 (1日あたり259人)?
(厚生労働省「人口動態統計」平成30年より)

 なんとがんでは、約37万人の方が亡くなっています。新型コロナの死者数とは比べものにならない数です。治療薬もワクチンもない新しい感染症にしっかりと対策をとるのは必要なことですが、死者の数で比べれば、このような事実があります。新型コロナ対応と同時に、がんや心臓、脳血管疾患、従来からの肺炎への対策も重要なのは変わりません。

多死社会への対応は急務

 新型コロナが今後どのようになるのか? このまま小さな波を経て収束してくれるのか? 第2波の大波が来るのか? 今のところ、まったくわかりません。ただ、日本の「多死社会」が進んでいくのは間違いありません。

 生活や仕事への影響が大きいだけに、新型コロナ対策がクローズアップされていますが、今後を考えれば、新型コロナを含めての「多死対策」を強化する必要があります。

 多死社会に対して、自治体などの取り組みは進んでいます。たとえば、首都圏では火葬件数の増加にともない、火葬場を増やしています。医療サイドも、地域医療の拡充を行っています。しかし、多死に追いついていない、お寒い現状があります。

70歳を過ぎたらエンディングノート

 多死社会と言っても、ハード面を充実させればいいという話ではありません。今後、必ず死んでいく私たち自身の問題ですから、私たちは死をどう迎えるか、元気なうちに考えておくべきです。それで、私は70歳を迎えたら、「エンディングノート」をつくり、「終活」を家族と話し合っておくことを勧めています。

 新型コロナは高齢者や持病のある人が感染して一度重症化してしまうと、厳しい闘いになることがわかっています。新型コロナ対策をきっかけに、私たちは「死」を改めて考える時にきているのではないでしょうか。(富家孝 医師)

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富家 孝(ふけ・たかし)
医師、ジャーナリスト。医師の紹介などを手がける「ラ・クイリマ」代表取締役。1947年、大阪府生まれ。東京慈恵会医大卒。新日本プロレス・リングドクター、医療コンサルタントを務める。著書は「『死に方』格差社会」など65冊以上。「医者に嫌われる医者」を自認し、患者目線で医療に関する問題をわかりやすく指摘し続けている。

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1件 のコメント

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多死社会での高度医療と看取りの併存

寺田次郎 関西医大放射線科不名誉享受

地域医療の崩壊の対策が別の連載でもテーマになっていますが、ことの本質は似ています。 日本における新型コロナの感染者および関連死は日本の対策のやり...

地域医療の崩壊の対策が別の連載でもテーマになっていますが、ことの本質は似ています。
日本における新型コロナの感染者および関連死は日本の対策のやり方などの諸事情から考えてももっと多いと思われますが、それよりも新型コロナをきっかけにして、医療体制が既にひっ迫していたことがより明らかになったと言えるでしょう。
ヨミドクの連載を見ても、ずっと前から言われていることがなかなか解決されていません。
それだけ、社会や医療の変化に、医療制度や国民の意識がついていけていくのは難しいです。

その中で、看取りも含めて一定以上の診断や治療の質の放棄も一つの選択肢になると思います。
医療人一人育てるのも大変なら、医療社会の構造ごとの変化はもっと難しいものです。
そして、新型コロナ対策の併存によって、動線もコストもより複雑になる中で、田舎で診断も治療も最先端は理論上無理です。

昔の病気は祈祷師とかの仕事でしたが、科学が採算を求める以上、採算の不可能な地域や状況で、求められてもいない不要な検査や治療を減らして看取りに振り分けていくのはある程度仕方ないのかもしれません。
勿論、遠隔診断や治療へのアクセス方法などある程度均質に近づけられる部分に関しては議論の余地があります。

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