子どもの健康を考える「子なび」
医療・健康・介護のコラム
成長期のスポーツ(14)陸上競技 種目で異なる障害
成長期のスポーツでは、日本スポーツ医学財団理事長の松本秀男さん(66)に聞きます。(聞き手・西原和紀)
今回は、陸上競技を取り上げます。サッカーなどのように選手同士が激しくぶつかり合う競技と比べると、けがそのものはあまり多くありません。一方で同じ動作を繰り返すことから、慢性的な負荷がかかることで生じるスポーツ障害が目立ちます。
陸上は、短距離、長距離、投てきに大きく分けられますが、起こりやすい障害には違いがあります。
短距離は、走り幅跳びや走り高跳びなども含め、瞬発力が求められる種目です。
成長期にみられる骨の障害である「 骨端症 」には十分に注意しましょう。骨が成長していくための軟骨が傷つくもので、代表的なのが、膝の「オスグッド病」です。かかとに痛みが生じる「 踵骨 骨端症」などもあります。
このほか、太ももやふくらはぎなどの肉離れも多い傾向にあります。
長距離では、足の甲の部分( 中足骨 )や、すね( 脛骨 )などの疲労骨折が目立ちます。「ランナー膝」とも言われる「 腸脛靱帯 炎」は、膝の外側が痛くなります。不整脈のほか、女子では貧血にも要注意です。
投てきは、砲丸や円盤を投げるなど腕を使うため、肩や肘の関節の障害が問題になります。腰をひねるなどの動作によって、腰椎の後ろの部分にひびが入る「腰椎分離症」を発症するケースもあります。
予防には、運動前にストレッチをしっかりすることが重要で、女子は筋力をつけることも大切です。練習のしすぎはかえって重大な障害につながる恐れがあり、選手生命にも影響を与えかねません。種目ごとに起きやすい問題をきちんと把握し、日頃から、体の痛みなどにはよく注意しましょう。
【略歴】
松本秀男(まつもと・ひでお)
整形外科医。慶応大卒。慶応大スポーツ医学総合センター教授などを経て、2019年4月から現職。
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