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医療・健康・介護のコラム

『「ボケたくない」という病』 和田秀樹著

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『「ボケたくない」という病』 和田秀樹著

 「人生100年時代」と言われて久しいが、年齢を重ねて心身の故障が起こってくるのは、誰しも避けがたいというもの。30年以上、認知症患者の臨床現場に携わってきた老年精神科医の和田秀樹さんが、認知症を過度に怖がるよりも、今すぐにできることを実践しよう、という目的で書いたのが本書。

 認知症の現状を直視し、Q&A形式で、全く認知症の知識のない人でもこの本を読めば、現在の認知症研究の最前線のみならず、対処法に至るまで知ることができるという意味で便利な一冊となっている。

 和田さんは率直に記す。たとえば、「Q1 ボケるのが怖いです。ボケずにすむ方法はありませんか?」という質問に対しては、「A1 今のところ認知症を完璧に予防する方法はありません」と断言する。ほかにも「Q 認知症になると性格が悪くなるのですか?」「Q 認知症の人は幸せなの?」「Q 認知症の人にイラっとしない方法を教えてください」などという質問に、研究成果を反映した答えを出していく。もちろん救いがないわけではなく、「認知症はそんなに怖くない」「ボケを遅らせる22の方法」などの章を立てて、読者に正確な知識を与え、認知症になりにくい生活習慣なども教示する。認知症を怖がるより、たとえ認知症になったとしても、充実した老後が送れる可能性を示唆してくれる。読者にとって親身で、優しい一冊だ。

 認知症になることを怖がっている人はもちろんのこと、今家族に認知症の患者を抱えている人にとっても、正しい知識を持つことの大切さを強調する著者のメッセージの数々が温かい。

 (世界文化社 1200円税別)

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