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田村専門委員の「まるごと医療」

医療・健康・介護のコラム

内科、総合診療専門医の相互取得を後押し 新型コロナ下で研修に影響も「質」の担保求める  日本専門医機構 

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オンラインで記者会見

日本専門医機構 内科、総合診療専門医の相互取得を後押し 新型コロナ下で研修に影響も「質」の担保求める

 日本専門医機構の寺本民生理事長は6月22日、オンラインで記者会見し、志望者数が伸び悩んでいる総合診療専門医の活性化策として、内科専門医とのダブルボードを取得しやすくするための方策について、おおむね合意に達したと明らかにした。また、新型コロナウイルスのために専門医研修が影響を受けている問題について、必要な症例数などはできる限り維持して質の担保を図りつつ、研修期間を延ばすなどの柔軟な対応を検討するよう関係学会に求めるとした。

総合診療専門医の養成増へ向けて

 現在の専門医制度は2018年度に1期生の研修がスタートした。内科、外科など19の基本領域の中から、3~5年間の研修を経て専門医を取得したうえで、さらに細かな領域(サブスペシャルティ)の専門医取得へと進む仕組みになっている。

 患者を幅広く診ることができる総合診療専門医は、高齢化社会における地域診療の中で重要な役割が期待され、内科や外科などと並ぶ基本領域の一つに位置づけられている。ところが、志望者数は年200人前後にとどまっている。その理由として、専門医取得後の「将来的な展望がなかなか見えてこないこともある」と寺本理事長。そこで、日本専門医機構が管轄する総合診療領域側と内科領域の学会で昨年夏頃から、相互に専門医を取得しやすくするための仕組みづくりについて、話し合いを重ねてきた。

 ある基本領域の専門医を取った後に、別の基本領域の専門医を取ることは、制度上は可能とされている。ただし、研修期間が短縮されるなどの具体的な道筋は示されていなかった。

 寺本理事長によると、合意によって、内科専門医と総合診療専門医の研修で共通する部分を重複して認めるようにすることで、二つ目の基本領域の専門医を取得する際に、必ずしも新たに3年間の研修をすべて受けなくても済むようになる。たとえば、内科専門医を取得した人が新たに総合診療専門医を取る場合には、不足する救急や小児の研修を新たに受けるなど、おそらく1年間ぐらいの研修が必要となるのではないかという。逆に総合診療専門医を取った人が新たに内科専門医を取ろうとする場合にも、内科を2年やっていて十分な症例登録があればプラス1年間で取れる可能性は十分にある、と説明した。

 また、他の基本領域間でも、たとえば整形外科とリハビリテーションのようにある程度速やかにダブルボードの仕組みができるとみられる分野がある一方、あまり慌てる必要はないとして、制度設計が重要との考えを示した。

新型コロナにも研修の「質」は落とさず

 新型コロナウイルスの影響で、予定していた研修が行えなくなっている問題では、手術の症例数などの基準はできるだけ緩めることなく、研修の質を担保していきたいことを説明した。具体的には、研修期間を1年程度延長することなども含め、認定試験は予定の時期に行ったうえで、基準の症例数を満たした段階で遡って認定するといった対応策を検討することなどを示した。そのうえで、県をまたいだローテーションが難しいなどのやむを得ない場合には、柔軟な対応を検討するよう求めた。

 一方、専攻医が感染症の患者対応にあたった場合には、医療倫理・医療安全・感染対策の受講を免除するなどの対応を検討することも示した。

募集のシーリングを総括、検証へ

 また、専攻医の募集で診療科によって都市部の定員に上限(シーリング)を設けている点について、下支えができない問題や、地域医療においてもかなり不満が出ており、3年間行った効果や不都合な点などについて総括を行ったうえで次の方法論を考えていく必要があるとして、ワーキンググループを設置して検討していく考えを明らかにした。

 日本専門医機構は6月30日に社員総会が開かれ、理事の改選などが行われる予定だ。2年前の理事長就任以来の所感を質問された寺本理事長は、「ガバナンスや財政の問題など様々な問題があったなかで、何とかここまでやってきたというのが現状」と振り返った。そのうえで、新たなシステムが安定するにはかなり時間がかかるものと思っており、少なくとも3年の研修が終わって来年試験が終了しないと全体の評価はできないとしつつ、「何とか少しずつ軌道に乗り始めたのではないか」と述べた。(田村良彦 読売新聞専門委員)

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田村 良彦(たむら・よしひこ)

 読売新聞東京本社メディア局専門委員。1986年早稲田大学政治経済学部卒、同年読売新聞東京本社入社。97年から編集局医療情報室(現・医療部)で連載「医療ルネサンス」「病院の実力」などを担当。西部本社社会部次長兼編集委員、東京本社編集委員(医療部)などを経て2019年6月から現職。

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1件 のコメント

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新しい専門医の入り込む余地と生着の順序

寺田次郎 六甲学院放射線科不名誉享受

今までの全体構造の中に新しい種類の専門医を入れていくことがいかに難しいかということだと思います。 その専門医はどういう評価や実効性を持つのかも含...

今までの全体構造の中に新しい種類の専門医を入れていくことがいかに難しいかということだと思います。
その専門医はどういう評価や実効性を持つのかも含めて難しい問題です。
総合診療医の主たるターゲットは軽症やスクリーニング行為だと思いますが、専門医という縛りが有効なのか否か、一方で一段目の間口が総合診療専門医であることが個人を集めるのに有効な施設や地域も今後出てくるかもしれません。
いわゆる専門医の取得や更新も難しくなっている中で、さらに新しいタスクや資金が必要な事も難しいと思います。

とはいえ、結局、最初からベストの形が見つかって、そのように終息することがそもそもあり得ないので、今後も他の専門医との住み分けや共存も含めて改編されていくのではないかと思います。
腫瘍内科医の連載も始まりましたが、15年前は多くの組織では腫瘍外科医や放射線治療医が行っていたところも多いと思いますし、今でも専門臓器の癌の取り扱いはおそらくその専門医が主の病院も多いでしょう。
間口とアイコンの問題と言い換えてもいいかもしれませんけどね。

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